ニューカレドニアの行政区画

ニューカレドニアは、太平洋に位置するフランスの海外領土であり、特に「特別共同体」という独自の地位を与えられています。これは、フランス本土の行政区分とは異なる特別なもので、一般的な海外県や海外準県とも位置づけが異なります。この独特な地位に基づき、ニューカレドニアには複数の階層にわたる複雑な行政区分が存在します。

主要な行政区分

ニューカレドニアの主な行政区分としては、以下のものが挙げられます。

1. 州 (Province)
2. コミューン (Commune)
3. 弁務官管轄区 (Subdivision Administrative)
4. 慣習的な地域区分 (Aire coutumière)

これらの区分はそれぞれ異なる目的と役割を持っています。

州とコミューン

ニューカレドニアには3つの州が設置されています。この州という区分はフランス本土には見られない形式であり、特別共同体としての独自の行政構造を象徴しています。各州は一定の行政権を有しており、ニューカレドニア議会が可決した法案に対して再議を要求する権限も持っています。

州の下には、市町村にあたる33のコミューンが置かれています。大部分のコミューンはいずれかの州に完全に含まれますが、プーヤ(Pouébo)というコミューンは例外的に北部州と南部州の境界にまたがっています。ただし、これは地理的な帰属の話であり、コミューン自体の行政機能は一つとして統合されています。

弁務官管轄区

州とは別に、フランス本国の代表であるニューカレドニア高等弁務官の監督下で、3つの弁務官管轄区が設置されています。これらは単に「Subdivision」とも呼ばれ、高等弁務官によって指名された弁務官が管轄します。これらの管轄区は領域としては州とほぼ重なりますが、行政上の本部の所在地が必ずしも州都と一致するわけではありません。

具体的な弁務官管轄区は以下の通りです。

北部行政区: 本部はポワディミーに置かれています。
南部行政区: 本部はラ・フォアに置かれ、ヌメアにも支部があります。
ロイヤルティ諸島行政区: この地域は州都と本部の所在地が一致しています。

先住民の慣習的な地域区分

ニューカレドニアの先住民族であるカナックの人々のために、独自の文化や伝統に基づいた「慣習的な地域区分」が8つ設けられています。これらの区分は、フランスによる近代的な行政区分とは異なり、各部族による自治を尊重し、伝統的な社会構造や慣習法に基づく統治を行うための枠組みです。それぞれの地域には慣習評議会が設置され、伝統的なリーダーシップのもとで地域社会の運営が行われています。

8つの慣習的な地域区分は以下の通りです。

Ajië-Aro: グランドテール島の中央部に位置します。
Djubéa-Kaponé: グランドテール島の最南端および周辺の島々を含みます。
Drehu: ロイヤルティ諸島のリーフー島に相当します。
Hoot ma Waap: グランドテール島の最北端および周辺の島々を含みます。
Iaai: ロイヤルティ諸島のウベア島に相当します。
Nengone: ロイヤルティ諸島のマレ島に相当します。
Paici-Camuki: グランドテール島の北部から中部にかけて、Hoot ma WaapとAjië-Aroの間に広がっています。
* Xaracuu: グランドテール島の中部から南部にかけて、Ajië-AroとDjubéa-Kaponéの間に位置します。

これらの多様な行政区分が組み合わさることで、ニューカレドニアの多層的で複雑な統治構造が形成されています。州やコミューンによる一般的な行政に加え、フランス国家の代表機関としての弁務官管轄区、そして先住民カナックの伝統と自治を尊重する慣習的な地域区分が共存しており、それぞれの役割を果たしています。

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