ニュージーランド保安情報局

ニュージーランド保安情報局 (NZSIS)

ニュージーランド保安情報局（New Zealand Security Intelligence Service、略称NZSIS）は、ニュージーランドにおける主要な諜報機関として機能しています。一般的に「SIS」と呼ばれることが多いこの機関は、国の安全保障を目的に様々な情報活動を行っています。

概要

NZSISは、国内外の脅威からニュージーランドを守るために設立されており、主に防諜活動及びテロ対策をその任務に据えています。職員は約200人いるとされるものの、実際に夫々の業務に従事しているのはおよそ150人前後です。英語の略称SISは、この機関の略称として広く知られています。

現在、NZSISには逮捕権はありませんが、通信傍受や家宅捜索の権限を持っています。組織の本部はウェリントンに位置し、オークランド及びクライストチャーチには支部があります。最近では職員の公募を開始し、優秀な人材を確保する努力を行っています。従来はスカウト方式で採用が行われており、特に軍人や官僚の家族の優秀な学生が好まれる傾向がありました。

主な任務には以下のものがあります。

• - 国家体制の転覆を阻止すること。
• - 国家社会に損害を与えるサボタージュ活動の防止。
• - 海外からのスパイ活動の対策。
• - テロ防止と過激派の監視。
• - 移民や難民の調査を通じて、テロリストの潜入を防ぐ事務。

情報機関として、政府の情報態勢を強化する責任を担っており、関連する各機関のセキュリティチェックや施策のアドバイスを行っています。そして、国際情報の収集も任務の一環としてあり、特に友好国の情報機関との連携が求められています。

歴史

NZSISは1956年に非公式に設立され、1969年には法律に基づいて正式な機関となりました。当初はイギリス及びその旧植民地からの職員が多く、その後の冷戦時代には共産主義勢力と対抗しつつ、国内の左翼運動にも目を光らせる役割を果たしてきました。70年代以降は世界的なテロ活動の増加に応じて、テロ対策も含む多岐にわたる任務を抱えるようになりました。

テロ対策は、その後もNZSISの主たる活動の中心となり、近年では特にイスラム過激派による脅威を警戒しています。例えば、バリ島での爆弾テロなどはニュージーランドにとっても重大な問題です。また、増大する中国の影響力や活動も、現在のNZSISにとって重要な捜査対象となっています。特に、中国による人権活動家や法輪功メンバーに対する監視活動といった事案は、国内外の報道で注目されています。

評価と課題

NZSISは過去、国際的な活動において疑問符がつく場面もありました。同盟国からの期待に応えられていないとの批判や、監視活動が人権を侵害しているとの主張が存在します。特に通信傍受には多くの論争があり、SISの存在意義や活動内容が問われることもしばしばです。指摘があるように、NZSISの活動が必要最低限に留まるべきなのか、それともより広範な権限を持つべきなのか、国民の間で意見が分かれています。

さらに、マオリ党への監視活動についても疑惑が持たれており、SISはこれを否定していますが、左翼活動家からの抗議は続いています。特に1974年の冤罪事件や、1985年のレインボー・ウォーリア号事件はSISの信頼性に影を落としました。それでも、同機関は冷戦後もその役割を全うし続け、現在も変化する国際情勢に対応しています。50周年を迎えた2006年には、国際的な情報機関の高官たちが集まって祝賀されるなど、国際的な役割が重視されています。ニュージーランドが小国であることから大国に対する脅威軽視も課題ですが、SISの卓越した対応力が求められる時代が続いています。

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