ニューヨーク造船所

ニューヨーク造船株式会社：アメリカを代表する造船所の歴史

ニューヨーク造船株式会社（New York Shipbuilding Corporation）は、1899年に設立されたアメリカの造船会社です。翌1900年にはニュージャージー州カムデンに最初の造船所を開設し、デラウェア川東岸という立地を生かして、アメリカ海軍や沿岸警備隊向けの艦艇、商船など、500隻を超える船舶を建造しました。その規模と技術力は、20世紀のアメリカにおける造船業を語る上で欠かせない存在です。

多様な船舶の建造

ニューヨーク造船所では、航空母艦、戦艦、豪華客船といった大型船舶から、はしけ船や車両艀といった比較的小型の船舶まで、あらゆる種類の船舶を建造しました。特に、第二次世界大戦中にはその生産能力がピークに達し、世界最大級の造船所として、総建造トン数でも世界一を記録しました。同造船所で建造された代表的な艦艇としては、駆逐艦「ルーベン・ジェームズ」、重巡洋艦「インディアナポリス」、航空母艦「キティホーク」などが挙げられます。また、原子力貨物船「サヴァンナ」や、愛称「Four Aces」で知られる4隻の豪華客船も、同社の技術力の高さを象徴する建造物です。

戦時における急拡大とヨークシップ村

第一次世界大戦中には、アメリカ海軍やエマージェンシー・フリート株式会社からの発注に対応するため、ニューヨーク造船所は急速に拡張を遂げました。従業員の増加に伴い、住宅不足が深刻化したため、従業員向け住宅団地「ヨークシップ村」が建設されました。この村は、エレクタス・ダーウィン・リッチフィールドが設計を担当し、陸軍省の資金援助によって、1,000戸のレンガ造りの住宅が建設されました。ヨークシップ村は現在のカムデン市フェアヴュー区にあたり、当時の様子を今に伝えています。

第二次世界大戦中には、さらに多くの艦艇がニューヨーク造船所で建造されました。インディペンデンス級航空母艦9隻、戦艦「サウスダコタ」、ノルマンディー上陸作戦で使用された戦車揚陸艇98隻など、その数は多岐に渡ります。

戦後の縮小と終焉

第二次世界大戦終結後、ニューヨーク造船所の規模は縮小されました。アメリカ海事局や海軍からの契約も減少し、厳しい経営環境に置かれることとなりました。1960年には最後の民間船「S.S. Export Adventurer」を、1967年には最後の艦「カムデン」を建造し、その長い歴史に幕を閉じました。現在、造船所の跡地はカムデン港の一部として利用され、貨物取り扱いが行われています。

ニューヨーク造船株式会社は、20世紀のアメリカにおける造船業の発展に大きく貢献しました。その歴史は、アメリカの産業史、そして海軍史において、重要な足跡を残しています。

外部リンク

New York Shipbuilding Company Historical Sites
A Tribute to a Place Called Yorkship
list of ships built
A web exhibit of ship christening photos that includes twenty images of launching ceremonies at New York Shipbuilding

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