ヌムール公

ヌムール公の歴史

ヌムール公（Duc de Nemours）は、フランスにおける貴族の称号であり、その歴史は中世にまで遡ります。1404年、フランス王シャルル6世によって創設され、当初はナバラ王カルロス3世に与えられました。この称号は、その後、様々な名家を渡り歩き、フランス史において重要な役割を果たしました。

ヌムール領主

ヌムール公の称号が創設される以前、この地はヌムール領主（Seigneurs de Nemours）によって治められていました。以下にその主な領主の変遷を記します。

オルソン・ド・シャトー＝ランドン (1120年 - 1148年)
アヴリーヌ・ド・シャトー＝ランドン (1148年 - 1174年) - オルソンの娘。ボーモン＝アン＝ガティネ領主ゴーティエ・ド・ヴィルベオンと結婚。
フィリップ1世・ド・ヴィルベオン (1174年 - 1191年) - アヴリーヌとゴーティエの息子。
ゴーティエ2世・ド・ヴィルベオン (1191年 - 1222年) - フィリップ1世の息子。
フィリップ2世・ド・ヴィルベオン (1222年 - 1255年) - ゴーティエ2世の息子。
ゴーティエ3世・ド・ヴィルベオン (1255年 - 1270年) - フィリップ2世の息子。
フィリップ3世・ド・ヴィルベオン (1270年 - 1274年) - ゴーティエ3世の弟。

1274年、ヌムール領はフランス王フィリップ3世に売却され、王領に組み込まれました。

ヌムール公

その後、1404年にヌムール公の称号が復活し、以下のように様々な家系によって継承されました。

エヴルー家
シャルル3世 (1404年 - 1425年) - ナバラ王カルロス3世。

ブルボン家
エレオノール・ド・ブルボン (1425年 - 1464年) - シャルル3世の外孫。パルディアック伯ベルナール8世・ダルマニャックと結婚。

アルマニャック家
ジャック・ダルマニャック (1464年 - 1477年) - エレオノール・ド・ブルボンとパルディアック伯ベルナール8世の息子。ルイーズ・ダンジューと結婚。1477年に処刑され、領地は一時没収されましたが、後に息子のジャンがヌムール公とされました。
ジャン・ダルマニャック (1483年 - 1500年) - ジャック・ダルマニャックとルイーズ・ダンジューの長男。
ルイ・ダルマニャック (1500年 - 1503年) - ジャック・ダルマニャックとルイーズ・ダンジューの末息子。ルイの死後、ヌムールは再び王領となりました。

フォワ伯家
ガストン・ド・フォワ (1507年 - 1512年) - フランス王ルイ12世の甥。ガストンの死後、ヌムールは再び王領となりました。

メディチ家
ジュリアーノ・デ・メディチ (1515年 - 1516年) - フランス王フランソワ1世の叔母と結婚。ジュリアーノの死後、ヌムールは再び王領となりました。

サヴォイア家
フィリップ・ド・サヴォワ＝ヌムール (1528年 - 1533年) - フランス王フランソワ1世の叔父。
ジャック・ド・サヴォワ＝ヌムール (1533年 - 1585年) - フィリップ・ド・サヴォワ＝ヌムールの息子。
シャルル・エマニュエル・ド・サヴォワ＝ヌムール (1585年 - 1595年)
アンリ1世・ド・サヴォワ＝ヌムール (1595年 - 1632年) - オマール女公アンヌ・ド・ロレーヌと結婚。
ルイ・ド・サヴォワ＝ヌムール (1632年 - 1641年) - アンリ1世の息子。
シャルル・アメデ・ド・サヴォワ＝ヌムール (1641年 - 1652年) - ルイの弟。エリザベート・ド・ブルボンと結婚。
アンリ2世・ド・サヴォワ＝ヌムール (1652年 - 1659年) - シャルル・アメデの弟。ランス大司教。マリー・ドルレアン＝ロングヴィルと結婚。アンリ2世の死後、ヌムールは再び王領となりました。

オルレアン家
フィリップ1世 (1672年 - 1701年) - フランス王ルイ14世の弟。以降、オルレアン家がヌムール公位を継承しました。
フィリップ2世 (1701年 - 1723年)
ルイ (1723年 - 1752年)
ルイ・フィリップ1世 (1752年 - 1785年)
ルイ・フィリップ2世 (1785年 - 1793年)
ルイ・フィリップ3世 (1793年 - 1830年) - フランス王ルイ・フィリップ。
ルイ・シャルル (1830年 - 1896年)
* シャルル＝フィリップ (1905年, 1926年 - 1970年) - 儀礼称号。ヴァンドーム公エマニュエル・ドルレアンの息子。ルイ・シャルルの曾孫。


ヌムール公の歴史は、フランスの歴史と密接に結びついており、様々な名家がこの称号を継承することで、その影響力を示しました。各家系の興亡とともに、ヌムール公の地位も変化し、その歴史はフランス史を語る上で欠かせない要素となっています。

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