ネコサポステーション

ネコサポステーション

ネコサポステーションは、ヤマトホールディングス株式会社が東京都多摩市において展開する、地域住民の日常生活を支援するための多機能拠点です。この取り組みは、特に高齢者や身体的な制約などにより、日々の買い物や家事に困難を抱える人々、いわゆる「買い物弱者」への支援策として企画・運営されています。

本事業は、国土交通省が主導する「地域を支える持続可能な物流ネットワークの構築に関するモデル事業」の一環として位置づけられています。これは、単にモノの輸送に留まらず、地域社会が直面する課題、例えば高齢化に伴う生活利便性の低下などに対応するため、物流機能を活用した新たなサービスモデルを構築することを目指すものです。ネコサポステーションの実現にあたっては、事業主体であるヤマトホールディングスが、地域行政を担う多摩市、そして都市開発や団地再生に知見を持つ独立行政法人都市再生機構（UR都市機構）と密接に連携しています。これにより、それぞれの強みを活かした包括的な地域支援サービスが提供されています。

サービスは2016年4月28日に開始されました。東京都多摩市内の永山団地と貝取団地という、比較的居住者の高齢化が進んだ地域に、それぞれネコサポステーションの店舗が設置されました。団地内に拠点を設けることで、住民が日常的に利用しやすく、気軽に立ち寄れる身近な存在となることを意図しています。

ネコサポステーションで提供される主なサービスは、以下の通りです。

荷物の取扱いサービス: 自社であるヤマト運輸の荷物はもちろん、佐川急便や日本郵便といった他の主要な宅配事業者の荷物の受け取りや発送にも対応しています。これにより、利用者は複数の配送会社の荷物を一箇所でまとめて受け取ったり、発送手続きを行ったりすることが可能になり、自宅での待機時間削減や手続きの煩雑さ軽減に繋がっています。
買い物代行・配送サービス: 地域住民からの依頼に基づき、最寄りの店舗などで必要な商品を代わりに購入し、自宅までお届けするサービスです。特に、貝取団地にある「コープみらい貝取店」と提携しており、同店で購入した商品の配送ニーズに多く応えています。しかし、コープみらい以外の店舗での買い物代行依頼や、利用者が自分で買い物した重い荷物の配送依頼にも柔軟に対応しており、買い物の負担軽減に大きく貢献しています。
* 家事代行サービス: 利用者の自宅を訪問し、掃除、洗濯、料理といった日常的な家事をサポートするサービスです。身体的な理由や時間的な制約により、ご自身での家事が困難な方々にとって、自宅での生活を維持するための貴重な支援となっています。

これらのサービスを一箇所で提供することにより、ネコサポステーションは単なる物流拠点や商店の代わりというだけでなく、地域住民の多様な生活ニーズに応える生活支援の総合窓口としての役割を担っています。地域住民が気軽に立ち寄り、困りごとを相談できる場となることで、地域コミュニティの活性化や高齢者の孤立防止にも寄与することが期待されています。

ヤマトホールディングスが長年培ってきた物流網と、多摩市およびUR都市機構が持つ地域の事情や住民ニーズに関する知識・基盤を融合させたこの取り組みは、地域社会が抱える様々な課題に対し、企業が物流というインフラを活かしてどのように貢献できるかを示す先進的なモデルケースとして注目されています。地域住民の生活の質の維持・向上と、持続可能な地域社会の実現に向けた重要な一歩と言えるでしょう。

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