ネットワーク1・17

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、関西に甚大な被害をもたらしました。この経験を教訓に、同年4月15日、MBSラジオは災害と防災に特化した情報番組『ネットワーク1・17』の放送を開始しました。番組名の「1・17」は震災発生日にちなんでいます。開始当初から毎日放送（当時）のラジオ報道部が制作を担当し、「被災地に寄り添い、支えとなる番組」をテーマに、被災者の声や復興の現状、心のケアといった側面を重点的に伝えてきました。

『ネットワーク1・17』の役割は、阪神・淡路大震災の経験を伝えるだけでなく、将来起こりうる大規模災害への備えを呼びかけることへと広がっていきました。東海地震や東南海地震などへの対策に加え、国内外で発生した新たな災害（新潟県中越地震、東日本大震災など）についても、その実情や課題を深く掘り下げて報道。リスナーから「防災リポーター」を募るなど、情報収集のネットワーク構築にも努めてきました。過去には地震概況を伝えるコーナーもあり、その活動の一部は2002年の「防災まちづくり大賞」受賞という形で評価されています。

長年にわたり災害報道に取り組む中で、番組は多くの特別企画や受賞歴を重ねています。特に、東日本大震災発生時には期間限定で関連番組『ネットワーク3・11』を放送し、被災地との情報連携を図りました。また、阪神・淡路大震災20年を機に制作された特別番組は、被災者の「その後」に焦点を当て、ギャラクシー賞など複数の賞を受賞。2022年には、熱海市での土石流問題を取り上げた特別番組が、日本民間放送連盟賞ラジオ報道番組部門の最優秀賞に輝くなど、調査報道の質も高く評価されています。

番組の放送時間は、その長い歴史の中で幾度か変更されています。開始当初の土曜夕方から、月曜夜間、一時的に『with…夜はラジオと決めてます』への内包、再び月曜夜間の独立番組を経て、2016年からは日曜早朝へ。そして2024年春からは日曜夕方へと移動しました。パーソナリティも、番組の顔として長く務めた魚住由紀氏や妹尾和夫氏をはじめ、毎日放送アナウンサーの河本光正氏、千葉猛氏などが担当。2018年からは西村愛氏が加わり、途中休養期間を経て、2020年秋からは単独でパーソナリティを務める現在の体制が続いています。

現在の放送では、西村氏の進行のもと、専門家へのインタビューや、MBSラジオ報道部による取材報告が中心となっています。熊本地震や新型コロナ禍における防災など、多様な視点から災害や防災に関する情報を発信。MBSラジオの災害報道の中核を担う番組として、『報道するラジオ』などの関連番組とも連携しながら、災害の教訓を伝え、社会全体の防災意識向上に貢献する役割を果たしています。阪神・淡路大震災の記憶を風化させず、未来の災害に備えるための重要な情報源であり続けています。

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