ノット・フェイド・アウェイ

ノット・フェイド・アウェイ：時代を超えて愛されるロックンロール・アンセム

1957年、ニューメキシコ州クローヴィスで生まれた「ノット・フェイド・アウェイ」。この曲は、ロックンロールの歴史に燦然と輝く一曲であり、その影響力は、半世紀以上を経た現在もなお色褪せることはありません。作曲クレジットはバディ・ホリーとノーマン・ペティの名が挙がっていますが、ペティの関与は限定的だったとされています。

ホリーと彼のバンド、ザ・クリケッツによるオリジナル・レコーディングは、力強いリズムが特徴です。そのリズムの源泉は、ボ・ディドリーのトレードマークであるボ・ディドリー・ビート。通常とは異なる2拍目の強調が、独特のグルーヴを生み出しています。さらに、このビートは、西アフリカ発祥のジュバという身体打楽器ダンスのリズムにも通じていると言われています。ザ・クリケッツのドラマー、ジェリー・アリソンは、なんとボール箱を叩いてこのビートを刻みました。アリソンはホリーの親友でもあり、歌詞作成にも関わっていたと伝えられていますが、クレジットはされていません。ベースはジョー・モールディン、バックボーカルはホリー、アリソン、そしておそらくニキ・サリヴァンが担当したとされています。

当初はヒット曲「オー・ボーイ」のB面としてリリースされ、後にアルバム『ザ・チャーピング・クリケッツ』に収録されました。2004年には『ローリング・ストーン』誌の「オールタイム・グレイテスト・ソング500」において107位にランクイン（2010年改訂版では108位）するなど、その音楽的価値は高く評価されています。しかし、ザ・クリケッツ版はシングルチャート入りを果たすことはありませんでした。

ローリング・ストーンズによるカバー：イギリスでの大ヒット

1964年、ローリング・ストーンズが「ノット・フェイド・アウェイ」をカバー。ストーンズ版は、オリジナルの力強いリズムをさらに強調した、強烈なボ・ディドリー・ビートが特徴です。イギリスでは大ヒットを記録し、彼らの初期の代表曲のひとつとなりました。イギリス盤は「リトル・バイ・リトル」をB面としてリリースされ、チャート3位まで上昇するトップ10ヒットとなりました。一方、アメリカでは「彼氏になりたい」をB面としてリリースされ、Billboard Hot 100で48位を記録しました。この曲は、ストーンズのイギリスデビューアルバムには収録されていませんでしたが、アメリカ盤には収録され、初期のコンサートでは定番のオープニングナンバーとして演奏されました。

その他の注目すべきカバー

「ノット・フェイド・アウェイ」は、ローリング・ストーンズ以外にも、多くのアーティストによってカバーされています。その中には、グレイトフル・デッド、ビートルズ、スティーヴ・ヒレッジ、スプリームスといった錚々たる面々が含まれています。グレイトフル・デッドは500回以上もライブで演奏し、彼らのレパートリーの中でも特に重要な曲となりました。ビートルズはゲット・バック・セッションで演奏したものの、正式なリリースには至りませんでした。スプリームスは1964年にレコーディングしていましたが、リリースは2008年まで待たなければなりませんでした。シェリル・クロウも2007年にレブロンのヘアカラーリング剤のキャンペーンソングとしてカバーし、iTunesで19,000件以上のダウンロードを記録しています。

時代を超越した魅力

「ノット・フェイド・アウェイ」は、単なるロックンロール・ナンバーではありません。そのシンプルながらも力強いリズム、そして時代を超越したメッセージは、多くのアーティストにインスピレーションを与え続け、リスナーの心を捉え続けてきました。オリジナルの生々しいエネルギー、そして様々なアーティストによる多様な解釈は、この楽曲の持つ普遍的な魅力を示しています。これからも、この曲は、ロックンロールの歴史、そして音楽史に燦然と輝く一曲として、語り継がれていくことでしょう。

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