ノブドウ

ノブドウ（野葡萄）

ノブドウ（学名: Ampelopsis glandulosa var. heterophylla）は、ブドウ科ノブドウ属に分類されるつる性の落葉低木です。別名としてイヌブドウ、カラスブドウとも呼ばれ、藪や都市部の空き地など、比較的日当たりの良い場所で見られます。日本を含む東アジア一帯に分布し、北米にも帰化植物として生育しています。

形態・生態

ノブドウは、つる性の茎を伸ばして他の植物に絡みつきながら成長します。葉は円形で、浅い切れ込みから深い切れ込みまで多様な形状を示します。特に切れ込みが深いものはキレハノブドウとして区別されます。

7月から8月にかけて花を咲かせますが、花は小さく目立ちません。果実は緑色から始まり、熟すと青色や紫色、または白色に変化します。この色とりどりの果実がノブドウの大きな特徴であり、観賞価値を高めています。しかし、味は美味しくないため食用には適しません。

また、ノブドウの果実には虫こぶがよく見られます。これは、タマバエやハチなどが卵を産み付けたことによって肥大したもので、正常な果実よりも大きく、様々な色や形をしています。

分布

ノブドウは、日本全国をはじめ、東アジア一帯に広く分布しています。また、北米にも帰化しており、各地の山野や藪で生育しています。

人間との関わり

ノブドウは、美しい果実を観賞するために栽培されることがあります。また、漢方ではノブドウ属の植物が「蛇葡萄」や「蛇葡萄根」として利用されますが、日本のノブドウが同様の薬効を持つかは不明です。民間療法では、乾燥させた葉を煎じてお茶として飲むことで、不整脈に効果があるとされていました。近年では、ノブドウのエキスが肝硬変の治療に役立つ可能性も示唆されています。

その他、果実を焼酎に漬け込んだ野ぶどう酒や、乾燥させた葉を野ぶどう茶として飲用・販売する例もあります。

ノブドウ属の種類

ノブドウ属（Ampelopsis）には、ノブドウの他にも多くの種類があります。

オフクカズラ (Ampelopsis aconitifolia)
ウドカズラ (Ampelopsis cantoniensis var. leeoides)
カガミグサ (Ampelopsis japonica) - 漢方薬に使われる。
アツバノブドウ (Ampelopsis humulifolia)

これらの種類は、葉の形や果実の色、生育場所などが異なります。

ノブドウは、その美しい果実と生命力で、人々の生活に彩りを与えてくれる植物です。

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