ノルウェー銀行

ノルウェー銀行（Norges BankあるいはNoregs Bank）は、北欧ノルウェー王国の中央銀行として機能しています。この機関の基本的な役割は、他の多くの中央銀行と同様に、国内の金融システムを安定させ、物価の安定を図る金融政策を遂行することにあります。これは健全な経済活動の維持に不可欠な使命と言えます。

しかし、ノルウェー銀行が持つ大きな特徴の一つに、ノルウェー政府年金基金（Statens pensjonsfond utland）という巨大なソブリン・ウエルス・ファンド（政府系ファンド）の運営を担っている点が挙げられます。これは、主にノルウェーの石油・ガス収入などを原資とする基金であり、未来世代のために国の富を長期的に運用・管理するという極めて重要な役割を果たしています。中央銀行がこのような大規模な資産運用を直接行う体制は、世界的にも珍しいと言えます。

欧州連合（EU）に加盟しておらず、ユーロ圏にも属さないノルウェーは、独自の通貨であるノルウェー・クローネを発行しており、その管理もノルウェー銀行の主要な業務の一つです。

組織としては、2009年末時点で約589名の従業員を擁していました。組織の経営陣は、内閣の決定を経て、ノルウェー国王によって任命されます。理事会の議長を務める人物が、ノルウェー中央銀行の総裁（Central Bank Governor）を兼任しており、現在はイーダ・ヴォルデン・バーチェ氏がその職にあります。総裁と副総裁は、国内外の様々な機会に、経済状況や政策に関するスピーチを行っています。

投資運用機能は、主にNorges Bank Investment Management（NBIM）という別部門によって担われています。NBIMは、前述のノルウェー政府年金基金の運用責任を持つほか、ノルウェー銀行自身の外貨準備の管理も行っています。NBIMは世界中の証券市場や金融市場に幅広く投資しており、不動産投資部門（NBREM）を通じて不動産への投資も行っています。投資対象はグローバルに及び、日本市場もその中に含まれています。

ノルウェー銀行の歴代総裁としては、以下の方々が知られています。

カール・ゲザー・ボムホフ (Karl Gether Bomhoff, 1893年～1920年)
ニコライ・リュッグ (Nicolai Rygg, 1920年～1946年)
アーノルド・C・レスタード (Arnold C. Ræstad, ロンドン支店長として1940年～1945年)
グンナー・ヤーン (Gunnar Jahn, 1946年～1954年)
エーリク・ブロフォス (Erik Brofoss, 1954年～1970年)
クヌート・ゲッツ・ヴォルド (Knut Getz Wold, 1970年～1985年)
ヘルモド・スコーンラン (Hermod Skånland, 1985年～1993年)
トシュタイン・モランド (Torstein Moland, 1994年～1995年)
キェル・ストルヴィク (Kjell Storvik, 1996年～1998年)
スヴェイン・イェードレム (Svein Gjedrem, 1999年～2010年)
オイスタイン・オルセン (Øystein Olsen, 2011年～2022年)
イーダ・ヴォルデン・バーチェ (Ida Wolden Bache, 2022年～)

このように、ノルウェー銀行は伝統的な中央銀行業務に加え、国の長期的な経済的安定と繁栄に貢献する独自の役割を果たしている機関です。

もう一度検索