ノーウォークウイルス

ノーウォークウイルスとは

ノーウォークウイルスは、ウイルス性胃腸炎を引き起こすことで知られるウイルスの一種です。このウイルスの名前は、最初にウイルスが発見された場所、アメリカ合衆国オハイオ州のノーウォークという地名に由来しています。

ウイルスの分類上の位置づけ

ウイルスは国際ウイルス分類委員会によって、科、属、種という階層で分類されます。発見当初、「ノーウォークウイルス種」は、「カリシウイルス科」の「ノーウォーク様ウイルス属」に分類されていました。しかし、2002年に同委員会で承認された結果、「ノーウォーク様ウイルス属」は「ノロウイルス属」へと名称が変更されました。現在では、「ノーウォークウイルス種」は「カリシウイルス科」に属する「ノロウイルス属」に含まれる唯一の種となっています。

名称変更を巡る誤解と混乱

「ノーウォーク様ウイルス（属）」が「ノロウイルス（属）」へと改名されたため、「ノーウォークウイルス（種）」もノロウイルスに改名されたと誤解されることがありますが、これは正確ではありません。近年、メディアや医療機関、保健機関などでノロウイルスという属名が頻繁に使用されるようになっています。

「ノロ」姓への配慮

一方で、日本をはじめ世界中で「ノロ (NORO)」という名字を持つ人々が存在します。「ノロ」姓の子供たちが、ウイルス名にちなんだいじめやからかいを受ける可能性を懸念する声が国際ウイルス分類委員会に寄せられました。この問題を受けて、同委員会は2011年3月以降、関係者との議論を重ね、同年9月に札幌で開催された国際微生物学連合2011会議において、ノロウイルスの命名提案者を含む各国の専門家と議論を行いました。

国際ウイルス分類委員会の公式見解

2011年9月14日、国際ウイルス分類委員会は公式プレスリリースを発表し、「ノロウイルス」は属名であり、そのようなウイルス種名は存在しないことを明言しました。委員会は、種名である「ノーウォークウイルス」を正しい呼称として使用すべきであると提言し、ノーウォークウイルスに起因する病気の発生に対して「ノロウイルス」という用語を使用しないよう、メディア、医療/保健機関、科学者団体に強く求めました。この内容は、同委員会の公式ホームページ会報上でも発表されています。

まとめ

ノーウォークウイルスは、ノロウイルス属に分類されるウイルスの一種であり、ウイルス性胃腸炎を引き起こします。名称を巡る混乱や、「ノロ」姓への配慮から、国際ウイルス分類委員会は正しい呼称の使用を提唱しています。ウイルスの正確な知識を持つことが重要です。

関連項目

ウイルスの分類
ノロウイルス

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