ノートルダム大聖堂 (フルヴィエール)

フルヴィエールのノートルダム大聖堂：リヨンを見守る聖なる丘の象徴

フルヴィエールのノートルダム大聖堂（Basilique Notre-Dame de Fourvière）は、フランスのリヨン市を一望できるフルヴィエールの丘に建つバシリカ式教会堂です。1998年にはリヨン歴史地区の一部としてユネスコの世界遺産に登録され、その美しい姿は世界中の人々を魅了しています。

歴史的背景：信仰と感謝の象徴

1872年から1896年にかけて、市民からの献金によって建設されました。この大聖堂は、1870年のリヨン・コミューンにおける「社会主義勢力に対するキリスト教勢力の勝利」を記念する意味合いも込められています。パリのサクレ・クール寺院と同様の背景を持つこの聖堂は、フルヴィエールの丘の頂上に堂々とそびえ立ち、リヨンの街のどこからでも眺めることができるため、街の象徴として親しまれています。

建築様式：ロマネスクとビザンチンの融合

設計者のピエール・ボッサンは、ロマネスク建築とビザンチン建築という、当時としては珍しい組み合わせを採用しました。主要な塔4基と鐘楼1基を備え、頂上には金色の聖母マリア像が輝いています。内部は、見事なモザイク、ステンドグラス、そして使徒ヨハネのクリプトで飾られています。ボッサンが最初に設計を構想したのは、1843年のペスト流行から200年を記念した1846年、彼がパレルモに滞在していた頃に遡ります。

教会堂の構造：二つの聖堂

フルヴィエール大聖堂は、実際には二つの教会堂が重なり合って構成されています。下層の教会堂は簡素なデザインですが、上層のサンクチュアリは非常に装飾的です。下層の教会堂は、1643年のペスト流行からリヨンの街が救われたことへの感謝を込めて聖母マリアに捧げられました。19世紀中ごろには、200周年を記念して金の聖母マリア像が奉納されています。

光の祭典：リヨンを彩る感謝の灯火

毎年12月8日（無原罪の聖母の祝日）から12月11日にかけて、リヨンでは「光の祭典（Fête des Lumières）」が開催されます。これは、街が聖母マリアに救済されたことへの感謝の気持ちを表すため、街中にキャンドルが灯されるという伝統的なお祭りです。

普仏戦争と大聖堂の建設

普仏戦争中、プロイセン軍がパリを陥落させ、リヨンへと進軍していました。しかし、教会で聖母マリアに祈りを捧げたところ、プロイセン軍は進軍を停止し撤退したと伝えられています。この勝利を記念して、1872年にバシリカの建設が始まり、1884年に建物の構造が完成しました。内装の完成にはさらに時間がかかり、最終的な完成は1964年となりました。

観光名所：リヨンの絶景を一望

現在、バシリカではガイド付きツアーが開催されており、聖美術館（Museum of Sacred Art）と合わせて年間150万人の訪問客が訪れます。特定の時間にはバシリカの北塔に上ることができ、そこからはリヨンの街とその郊外のパノラマの景色を180度楽しむことができます。

フルヴィエールのノートルダム大聖堂は、その壮麗な建築、豊かな歴史、そしてリヨンの街を見守る象徴としての役割において、訪れる人々を魅了し続けています。

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