ノームル

ノームル遺跡の概要と歴史

ノームルは、ベリーズ北部のオレンジウォーク郡に位置するユカタン半島のマヤ遺跡であり、その名前はユカテコ語で「偉大なる塚」を意味します。この遺跡は、オンド川沿いのアベンチュラから南西へ20キロ、オレンジ・ウォーク町の北約11キロメートルにあります。

遺跡の構造と広がり

ノームルは、祭祀センターとしては珍しい形状をしており、オンド川の景観を見下ろす尾根の上に立っています。遺跡の面積は31平方キロメートルにも及び、長さ400メートルの「サクベ」と呼ばれる道が、東グループと西グループをつないでいます。それぞれには、10もの「プラザ」と呼ばれる中庭が取り囲む建物群が存在しています。特に東グループの方が広く、これまでの発掘調査で多くの成果を上げています。西グループには、大きなピラミッドや重層的な建築物「アクロポリス」が含まれ、遺跡内で二番目に大きなプラザも存在します。1980年代にはアメリカの調査隊によって数回にわたる発掘が行われ、現在も政府機関による調査が続いています。

編年と文化活動

ノームルに人々が住み始めたのは、先古典期中期前葉の約900年から650年前とされています。以降、先古典期後期の400年ごろから建築活動が活発になり、祭祀センターとしての主要な建物が築かれました。特に、原古典期（西暦100〜250年頃）には祭祀センターの形が確立され、2つの最大規模のプラザも作られました。ノームルの遺跡で見つかる土器は種類が豊富で、この時期の特徴を示しています。古典期前期には、一時的に衰退し、建築活動が停止されたものの、古典期の終わりには再び活発な建設が始まりました。この新たな建設様式は、古典期のものを覆いつつ並ぶように建てられ、他の地域で見られない形状も見られるようになります。特に、チチェン・イッツアのカラコルと似たような円形の建物も確認されています。

2013年の破壊事件

2013年5月、ノームル遺跡において重大な破壊行為が発生しました。市の土木業者が重機を使って、遺跡内の中央神殿を破壊し、道路の舗装材として使用するために、数多くの石や礫を取り去ったのです。破壊されたピラミッドは高さ8メートル、基準は50から52メートルに及び、70%も削られてしまいました。この事件は国際的に報道され、古代遺跡の保護に関する議論を呼び起こしました。多くの専門家は、遺跡が法的には国家の保護下にあることを指摘し、適切な措置が取られるべきだと述べています。ある教授は、このような行為がベリーズ全体における宿痾のようになっていると警鐘を鳴らしました。

まとめ

ノームルは、その独特な祭祀センターの構造や歴史的な重要性から、マヤ文化を理解する上で貴重な遺跡です。2013年の破壊事件は、遺跡保存の課題を浮き彫りにし、文化遺産の保護がますます重視されるべきであることを示しています。今後も、これらの遺跡に対する意識が高まることが期待されます。

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