ノール262

ノール262（Nord-Aviation Nord 262）

ノール262は、フランスの航空機メーカーであるノール・アビアシオン（現在のアエロスペシアル社の前身）の手によって開発された双発ターボプロップ旅客機です。この機体は、1950年代にマックス・オストル社が試作したレシプロ旅客機MH250シュペール・ブールザーを基にしており、その後のMH260開発によりターボプロップエンジンおよび与圧システムを特徴とする20席クラスの航空機へと進化しました。1960年7月には初飛行を達成しましたが、開発遅延の影響で、多くの航空会社からの発注がキャンセルされてしまうという困難に直面しました。

そこで、フランス政府はMH260の開発プロジェクトを保障し、ノール・アビアシオンに移管しました。これにより、ノール262が誕生しますが、依然として航空会社からの発注は少なかったため、機体の設計は見直されました。具体的には、胴体の形状を角型から円形に変更し、大型化とエンジンの強化を図った結果、より優れた性能を持つ機体が完成しました。初号機の初飛行は1962年12月24日であり、2800機の発注が見込まれていたものの、実際には3機しか生産されませんでした。

ノール262の設計には、特に頑丈な車輪周りが特徴として挙げられます。この部分は胴体とは異なるカバーで覆われているため、独特の形状を持っています。その耐久性は、多くの航空会社での運用に適した要素となりました。興味深いことに、2011年時点でも3機が現役で運用されており、航空機としての信頼性を示しています。

この機体を導入した主なユーザーには、フランスのエールアンテール、アレゲニー航空、日本国内航空、さらにはヴィデロー航空やフランスの空軍・海軍も含まれます。特に日本国内航空においては、旧日東航空が1965年に仮契約を結び、主にローカル路線で運用していました。これには、運用されたリース機F-BLHQと自社で購入したJA8663・JA8646・JA8652に、それぞれ伝説的な愛称「はやぶさ」「白鳥」が付けられたことが含まれます。

機体性能

ノール262は、運航乗員2名、乗客29名を定員としており、以下の性能を誇ります。

• - 全長：19.30m
• - 全幅：21.90m
• - 全高：6.21m
• - 翼面積：54.50m²
• - 空虚重量：6,530kg
• - 全備重量：10,300kg

エンジンとしては、チュルボカネ社製のバスタン6B2を2基搭載し、1065shpを発揮します。ノール262は、巡航速度382km/h、最大航続距離は1,250km、最高到達高度は8,690mといった優れた性能を持ち合わせています。このように、ノール262は1960年代の航空市場に挑戦した航空機の一例であり、その歴史的意義は今日でも語り継がれています。

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