ハイイロチュウヒ

ハイイロチュウヒ（灰色沢鵟）

ハイイロチュウヒ（学名：Circus cyaneus）は、タカ目タカ科チュウヒ属に属する鳥の一種であり、ユーラシア大陸の北部を主な繁殖地としています。この鳥は冬季になるとアフリカ大陸北部やユーラシア大陸中部へ移動し越冬します。特にヨーロッパでは年間を通じて生息している個体も見られますが、日本では冬鳥として局地的に飛来し、個体数は少ないため観察するのが難しいです。

形態的特徴

ハイイロチュウヒの体長はオスが40-45 cm、メスが50-55 cmで、メスの方がやや大型です。オスは全身が灰色で、初列風切羽は黒色、腹部は白色をしています。一方で、メスや幼鳥は全身が褐色の羽毛で覆われ、腹面には淡褐色で褐色の斑点が見られます。また、尾羽の背面には白い斑紋があり、識別のポイントとなります。

生態と行動

ハイイロチュウヒは草原や湿地に生息し、地上を低空飛行しながら獲物を捜索する特徴があります。地面に草や木の枝を利用して巣を作り、肉食性の食性を持ち、両生類、爬虫類、鳥類、小型哺乳類を捕食しています。狩りは主に日中ではなく、アシ原や畔、休耕田などの草地に降り立ち、休息をとる時間が多いです。

繁殖に関しては、春の4月から6月にかけて3-6個の卵を産み、抱卵行動はメスだけが行います。繁殖地ではオスが「ピョゥピョゥ」と呼ばれる鳴き声を上げながらディスプレイ飛行を行うことでも知られています。

分類と系統

近年、ハイイロチュウヒはアメリカ大陸に生息する別種Circus hudsoniusとの二種類に分類されるようになりました。以前はこの二種は亜種とされていましたが、現在では明確に分かれた種と認識されています。日本ではCircus cyaneusが飛来し、こちらはユーラシア大陸に分布しています。アメリカの個体はアメリカハイイロチュウヒ（またはアメリカチュウヒ）と呼ばれ、色合いが濃いのが特徴です。

保全状況

ハイイロチュウヒの保全状況は、IUCNレッドリストの評価において「Least Concern」とされており、特に危機的な状況にはないとされています。また、ワシントン条約附属書IIにカテゴライズされています。日本では観察機会が限られていますが、その生態や姿を理解することは自然保護の観点からも重要です。

関連情報

日本の野鳥一覧も参考にしつつ、他の野鳥と併せてハイイロチュウヒの観察を楽しむことができるかもしれません。さまざまなポイントでの生息状況に注目しながら、フィールドワークに挑戦してみてください。

もう一度検索