ハイブリッド・ティー

ハイブリッド・ティーとは

ハイブリッド・ティーは、園芸におけるバラの分類の一つで、特定の系統のバラを指す非公式な用語です。ハイブリッド・ティーは、2種類のバラを交配させることで作出され、初期にはハイブリッド・パーペチュアル・ローズとティー・ローズの交配種として誕生しました。モダン・ガーデン・ローズに分類される品種の中では最も古いものとされています。

ハイブリッド・ティーは、両親であるハイブリッド・パーペチュアルとティー・ローズの中間的な特徴を持ち合わせています。耐寒性に関しては、寒さに弱いティー・ローズよりも優れていますが、ハイブリッド・パーペチュアルほどではありません。また、四季咲き性については、ハイブリッド・パーペチュアルよりも繰り返し花を咲かせますが、ティー・ローズほど常に咲き続けるわけではありません。

花は、長く直立した茎の先に大きく中央が突出した蕾をつけます。開花すると直径8cmから12.5cm程度にまで成長します。花の色や形が美しいことから、世界的に非常に人気があり、切り花としても広く利用されています。多くの品種は、まっすぐ上に伸びる性質を持ち、高さは75cmから2mほどに成長します。

歴史

世界初のハイブリッド・ティーとして一般的に認知されているのは、1867年にフランスの育種家、ジャン＝バプティスト・アンドレ・ギヨー・フィスによって作出された「ラ・フランス」です。彼は、ティー・ローズ（おそらく「マダム・ブラヴィ」）とハイブリッド・パーペチュアル（おそらく「マダム・ヴィクトール・ヴェルディエ」）を交配させ、ハイブリッド・ティーを生み出しました。

初期の品種としては、「レディ・マリー・フィッツウィリアム」（1883年）、「Souvenir of Wootton」（1888年）、「マダム・キャロライン・テストゥ」（1890年）などがあります。20世紀初頭にジョゼフ・ペルネ＝ドゥシェが「ソレイユ・ドール」を作り出すまでは、ハイブリッド・ティーはそれほど人気のある品種ではありませんでした。

ハイブリッド・ティーをガーデン・ローズの頂点に押し上げたのは、第二次世界大戦後にフランシス・メイアンが作出した「ピース」です。ピースは20世紀を代表する最も人気のある栽培品種の一つとなりました。

特徴と課題

ハイブリッド・ティーは、耐寒性が完全ではなく、特に気温が-2.5度を下回る地域では栽培に注意が必要です。また、まっすぐに高く伸びる性質や、葉がまばらにしかつかないこと、病害に弱いことなどから、より手間の少ないランドスケープ・ローズに人気が移りつつあります。しかし、現在でも園芸産業における標準的なバラとして定着しており、フォーマルな小規模庭園で愛好され続けています。

繁殖

ハイブリッド・ティーは通常、芽接ぎや切り接ぎによって繁殖させます。親木から採取した芽や穂木を、成長力の強い台木（ノイバラなど）に接ぎ木することで増やします。また、気候条件によって、耐寒性の高い品種が育成されています。

品種例

長年の間に数多くのハイブリッド・ティー品種が作出されてきました。有名なものとしては、「クライスラー・インペリアル」、「ダブル・デライト」、「エリナ」、「ドフトボルケ」、「ミスター・リンカーン」、「ピース」などが挙げられます。

ハイブリッド・ティーは、その美しい花と、比較的手間のかからない栽培方法から、世界中の庭園で愛され続けています。特にフォーマルな庭園や切り花として、その存在感を発揮しています。

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