ハイメ・ロサーノ

人物紹介

ハイメ・アルトゥーロ・ロサーノ・エスピン（Jaime Arturo Lozano Espín）は、1978年9月29日に生まれたメキシコ出身の元サッカー選手であり、現在は指導者として活動しています。選手時代はミッドフィールダー（MF）としてピッチの中盤を支配し、その後の指導者キャリアでは特に年代別代表で顕著な成績を残し、国際的にその名を知られるようになりました。

選手キャリア

プロサッカー選手としての第一歩は、1998年に国内屈指のクラブであるクルブ・ウニベルシダ・ナシオナル、通称「プーマス」で始まりました。プーマスで数シーズンを過ごした後、2001年にはセラヤFCへ移籍。しかし、所属クラブがセグンダ・ディビシオン（当時）への降格を経験したこともあり、再び古巣プーマスへと戻ることを選択しました。

プーマス復帰後は中心選手として活躍しましたが、2005年にクラブとの契約更新交渉が難航し、UANLティグレスへの完全移籍を決断します。その後、2007年にはクルス・アスルに活躍の場を移し、2010年にはアトレティコ・モレリアへ期限付きで加入しました。キャリア晩年となる2012年には、三度プーマスへの復帰を果たし、翌2013年に慣れ親しんだクラブで現役生活に終止符を打ちました。

メキシコ代表選手として

メキシコA代表には、2000年6月7日に行われた南アフリカ代表との親善試合で初キャップを記録しました。代表初得点は2004年6月19日、2006 FIFAワールドカップ北中米カリブ海予選のドミニカ国代表戦で生まれました。さらに、そのわずか8日後の同代表との対戦では、ハットトリックを達成するなど、攻撃的なMFとしての能力を発揮しました。

国際大会では、2004年のコパ・アメリカや2005年のFIFAコンフェデレーションズカップ（3試合出場）に出場しました。しかし、キャリアを通じて繰り返された怪我に悩まされ、チームの主力として期待されながらも、2006年のFIFAワールドカップ・ドイツ大会のメンバーからは惜しくも落選することとなりました。その後、2007年のコパ・アメリカにも出場しましたが、2008年3月26日のガーナ代表との親善試合が、彼にとって最後のA代表でのプレーとなりました。

指導者キャリア

現役引退後、ロサーノ氏はサッカー指導者への道を歩み始めます。地元メキシコシティで指導者養成学校に通い、指導者としての基礎を築きました。最初の指導現場は、選手としても長く在籍した古巣プーマスの下部組織でした。

その後、ケレタロFCに移り、ここでも下部組織の監督を務めました。ケレタロではU-20カテゴリーのリーグ戦「リーガMX クラウスーラ」でチームを優勝に導き、その手腕が高く評価されました。この成功が認められ、トップチームのビクトル・マヌエル・ブセティッチ監督の下でアシスタントコーチに昇格します。2017年1月末にブセティッチ監督が解任されると、ロサーノ氏は内部昇格によりトップチームの指揮を執ることになりました。この時、自身が指導者養成学校で同期だった西村亮太氏をアシスタントコーチとして迎え入れたことも知られています。

ケレタロFCのトップチーム監督としては、就任直後の同年7月16日に行われたスーペルコパMXで勝利を収め、トップチームでの監督キャリアにおいて初のタイトルを獲得しました。しかし、リーグ戦ではチームが最下位に低迷する状況が続き、同年10月22日に監督を解任されることとなりました。後任にはルイス・フェルナンド・テナ氏が就任しました。

一時的な挫折を経験しましたが、2018年12月18日にはメキシコU-23代表監督に就任。このポストで、ロサーノ氏は指導者としての真価を発揮します。チームを率いて、第47回トゥーロン国際大会で3位、翌月の2019年パンアメリカン競技大会でも3位と連続してメダルを獲得。そして最大の成果は、2021年に行われた東京オリンピックにおいて、チームを銅メダル獲得へと導いたことです。メキシコサッカー界に再びオリンピックの栄光をもたらすことに貢献し、この成功を最後にU-23代表監督の職を退きました。

東京オリンピックでのメダル獲得という実績は、国内外で高く評価されました。当時、日本代表監督の進退が取り沙汰されていた際には、森保一監督の後任候補として名前が挙がったり、日本のJ1リーグクラブの監督に就任するのではないかといった噂も流れましたが、いずれも実現には至りませんでした。

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