ハイレベル・ブリッジ・ストリートカー

ハイレベル・ブリッジ・ストリートカー

カナダのエドモントン市にあるハイレベル・ブリッジを渡る保存鉄道、それがハイレベル・ブリッジ・ストリートカーです。この路線は、エドモントン・ラジアル・レールウェイ協会によって運営され、歴史的な路面電車を動態保存しています。使用される車両は、かつて日本の阪堺電気軌道で活躍していた車両を含む、各国のユニークな車両たちです。

歴史

ハイレベル・ブリッジは、ノースサスカチュワン川を渡る重要な橋梁で、二層構造を持っています。1913年の開通当初、上層はカナダ太平洋鉄道が、下層はエドモントン・ラジアル鉄道が使用していました。しかし、1951年にエドモントン・ラジアル鉄道が廃止されると、路面電車の線路は撤去されました。

1979年、エドモントン・ラジアル鉄道の1号電車が動態復元され、ディーゼル発電機付きのトレーラーを連結してハイレベル・ブリッジを走行しました。これは、28年ぶりの路面電車による橋の走行となり、大きな反響を呼びました。この成功を受けて、1980年にエドモントン・ラジアル・レールウェイ協会が設立され、路面電車の保存活動が本格的に始まりました。

同協会は、エドモントン・ラジアル鉄道の車両だけでなく、様々な路面電車の復元に取り組みました。ハイレベル・ブリッジを通る路面電車の復活は、協会の大きな目標の一つでした。1989年、カナダ太平洋鉄道が橋の経路を変更したことをきっかけに、この計画は大きく進展しました。旧カナダ太平洋鉄道の線路の電化工事や、ハイレベル・ブリッジに接続する線路の整備など、多くの工程を経て、1997年8月にストラスコーナ地区とグランディン地区を結ぶ路線が営業運転を開始しました。

運行

ハイレベル・ブリッジ・ストリートカーは、毎年5月から10月まで運行しています。運賃は往復7ドル、片道4ドルで、観光客にも手軽に利用できます。電停は5箇所に設けられ、ハイレベル・ブリッジはGrandin-Legislature電停とGarneau-90th Avenue電停の間に位置しています。

車両

現在、ハイレベル・ブリッジ・ストリートカーでは、以下の車両が運行しています。

247: 1921年製造の阪堺電気軌道（旧南海電気鉄道大阪軌道線）205形電車。当初は部品取り用でしたが、後に営業用車両として活躍。1997年からは架線からの集電方式に変更されています。
930: オーストラリア・メルボルン市電のW6形電車。2006年から運行しており、車椅子での利用に対応しています。ハイレベル・ブリッジ・ストリートカーで唯一のバリアフリー車両です。
33: 1912年製造のエドモントン・ラジアル鉄道向け電車。長年の放置により老朽化が激しかったものの、17年の歳月と多額の予算をかけて動態復元されました。2011年以降、ハイレベル・ブリッジ・ラインで活躍しています。

過去には、以下の車両も運行していました。

601: 元はドイツ・ハノーファーの試作連接車。バンクーバーでのライトレール計画のために輸出されたものの、計画変更により用途を失いました。その後エドモントン・ラジアル・レールウェイ協会に購入され、2005年から約12年間運行。2016年にハノーファーに里帰りしました。


ハイレベル・ブリッジ・ストリートカーは、エドモントンの歴史と鉄道技術を今に伝える、貴重な存在です。各国の歴史的な路面電車が走る姿は、鉄道ファンだけでなく多くの人々を魅了しています。

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