ハインツ・G・コンザリク

ハインツ・G・コンザリク（1921年5月28日 - 1999年10月2日）は、ドイツを代表する小説家の一人です。本名をハインツ・ギュンターといい、「コンザリク」は母方の姓に由来します。ケルンで生まれ、演劇学、文学史、ドイツ文学をケルン、ミュンヘン、ウィーンの各大学で学びました。

第二次世界大戦中は報道班員として従軍し、独ソ戦の各地を転戦しました。1945年に復員後、大学を卒業し、出版社勤務を経て1951年からフリーの小説家として活動を始めました。

コンザリクの作品は、時事性を重視したエンターテインメント小説であり、冒険、恋愛、スパイ、戦記、メディカルスリラーなど、多岐にわたるジャンルを扱っています。40年を超える作家生活で100冊以上の作品を刊行し、ドイツの国民作家として、ヨーロッパで広く知られる存在となりました。彼の作品は国境を越えてベストセラーとなり、ヨーロッパにおいて彼の名を知らない人はいないと言われるほどでした。

作品の時事性を重視する姿勢は、時に予言的な作品を生み出すことにも繋がりました。例えば、1972年のミュンヘンオリンピック事件が発生した際には、その前年に発表した作品が事件に酷似していたため、コンザリクの作品が事件を引き起こしたのではないかという議論を呼び、社会問題化しました。

日本においては、『死の微笑』（1983年）や『SOS発信!』（1995年）などが翻訳出版されています。『死の微笑』は、香港での連続殺人事件をティン警部とドイツ人医師メルカーが捜査する物語であり、『SOS発信!』は、航空業界の実態に迫るテクノスリラーです。

日本語訳作品
第6軍の心臓: 1942〜3年スタリングラート地下野戦病院 （訳：金森誠也、1984年3月、フジ出版社、ISBN 4-89226-061-4）
スタリングラートの医師: 捕虜収容所5110-47 （訳：畔上司、1984年9月、フジ出版社、ISBN 4-89226-067-3）
極限に生きる: 疎外され死ぬ以外の権利を剥奪された一団の物語 （訳：畔上司、1985年6月、フジ出版社、ISBN 4-89226-068-1）
死の微笑 （訳：畔上司、1997年6月、文春文庫、ISBN 4-16-730975-0）
SOS発信! （訳：畔上司、1998年9月、文春文庫、ISBN 4-16-752755-3）

コンザリクの作品は、エンターテインメント性とともに、社会的なテーマや人間の内面を深く掘り下げたものが多く、幅広い読者に支持されました。彼の作品は、今日でも多くの人々に読まれています。

参考文献
ハインツ・G・コンザリク『死の微笑』（1997年6月、文春文庫） 訳者あとがき（畔上司）
ハインツ・G・コンザリク『SOS発信!』（1998年9月、文春文庫） 訳者あとがき（畔上司）

関連項目
推理作家一覧#ドイツ語圏

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