ハイ・レコード

ハイ・レコード (Hi Records)

ハイ・レコードは、1957年にテネシー州メンフィスで設立されたアメリカのレコードレーベルです。特に1960年代から70年代にかけては、アル・グリーンやアン・ピーブルスなどの著名なソウルアーティストを輩出し、その存在感を際立たせました。このレーベルの成功には、レーベルのプロデューサーであったウィリー・ミッチェルの貢献が不可欠であり、彼が運営するロイヤル・スタジオで多くのレコーディングが行われました。ここではテイニー・ホッジスらハイ・リズム・セクションのサポートを受け、独自のサウンドを確立しました。

設立と初期の歴史

ハイ・レコードは、元サン・レコード所属のシンガーであるレイ・ハリス、レコードプロデューサーのクイントン・クランチ、ビル・カントレル、メンフィスのレコード店を運営していたジョー・クオギの４人によって設立されました。設立当初はビル・カントレルが社長を務めましたが、間もなくジョー・クオギがその権限を引き継ぎました。ハイ・レコードが最初にリリースしたシングルは、カール・マクヴォイの「You Are My Sunshine」であり、このリリースを皮切りにレーベルの活動が本格化しました。

1959年には、エルヴィス・プレスリーのベーシストであるビル・ブラックのコンボによる「Smokie, Part 2」が発表され、ポップチャートで17位、R&Bチャートで1位を記録するヒットとなり、レーベルの初の成功作となりました。この年、プロデューサーのクランチがレーベルを離れた後、新たに迎え入れられたウィリー・ミッチェルがレーベルの音楽性をより一層深めることになります。

最盛期とその後

1960年代後半には、アン・ピーブルスとアル・グリーンがレーベルと契約し、ハイ・レコードは最盛期を迎えました。特にアル・グリーンのヒットは、全米の音楽シーンに大きな影響を与え、ソウル音楽の枠を超えて広く評価されました。1970年にジョー・クオギが亡くなると、ウィリー・ミッチェルがレーベルの運営を引き継ぎました。彼のプロデュースの下で、ハイ・リズム・セクションは名サウンドを確立し、ソウルファンに親しまれる楽曲を数多く生み出しました。

しかし、1970年代後半のディスコブームにより、ハイ・レコードの人気は次第に衰えていきました。1976年にはウィリー・ミッチェルがレーベルを撤退し、アル・ベネットに売却した後もレーベルの活動は続きましたが、1980年代にはモータウン・レコードがその権利を獲得し、作品の再発が行われるようになりました。最終的には、アル・ベネットの娘であるアダラー・ベネット・ショウが権利を取得し、現在もエミー・レコードと共同で作品の再発に取り組んでいます。

主なアーティスト

ハイ・レコードには、以下のアーティストが名を連ねています。

• - アン・ピーブルス
• - アル・グリーン
• - シル・ジョンスン
• - オーティス・クレイ
• - ドン・ブライアント
• - チャーリー・リッチ
• - O.V.ライト
• - ビル・ブラックス・コンボ
• - ウィリー・ミッチェル
• - その他多数

ハイ・レコードは、確固たるソウルミュージックのレーベルとして、今もなお多くの人々に愛され続けています。

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