ハウスシッター/結婚願望

ハウスシッター/結婚願望：嘘から始まる、真実の愛の物語

1992年公開のアメリカ映画『ハウスシッター/結婚願望』(原題: Housesitter)は、スティーブ・マーティンとゴールディ・ホーンという豪華キャストを迎え、軽妙洒脱な会話と予測不能な展開で観客を魅了するロマンティック・コメディです。監督はフランク・オズ。

物語の中心人物は、建築士のニュートン・デイヴィス（スティーブ・マーティン）。彼は長年の恋人ベッキー（ダナ・デラニー）との結婚を夢見て、故郷に家を建てますが、プロポーズを断られてしまいます。落胆したニュートンは、多額の借金を抱えたまま家を放置します。

そんなある日、ボストンのハンガリー料理店で、彼はグウェン・フィリップス（ゴールディ・ホーン）というウェイトレスと出会います。英語が話せないと思い込んだニュートンは、彼女を相手に、失恋の苦しみを打ち明けます。しかし、グウェンは流暢な英語を話すことが明らかになり、ニュートンは驚きを隠せません。

二人は一夜を共にし、翌朝、ニュートンは急いで家に戻りますが、設計図を置き忘れてしまいます。その図面を偶然見つけたグウェンは、魅力的な家に心を奪われ、そこに住み着くことを決意します。

グウェンは、ニュートンの妻を装って食料品を買い占めたり、ニュートンの家族や友人にも巧みに嘘をつき、彼の生活に溶け込んでいきます。彼女は、ニュートンが彼の両親に話していないことを承知の上で、ニュートンの両親にも「結婚」を報告し、その場をうまくやり過ごします。最初はニュートンの家族も驚くものの、グウェンの魅力に次第に心を掴まれていきます。

やがてニュートンは、自分の家にグウェンが住んでいることを知り、激怒します。しかし、グウェンが持ち込んだポジティブな変化に気づき始めます。彼女はニュートンの両親との関係を修復し、彼の才能を開花させ、さらには元恋人のベッキーを嫉妬させます。

グウェンは、自身の自信のなさから嘘をつく癖があること、そして何度も人生の転機を経験してきたことを告白します。彼女の嘘は、単なる策略ではなく、自己肯定感の低さからくる行動であることがわかります。

ニュートンの家で開かれたパーティーでは、ニュートンのキャリア、家族関係、そしてベッキーとの複雑な感情が渦巻きます。ベッキーの態度に腹を立てたグウェンは、彼女を非難し、家を飛び出します。ニュートンは彼女を追いかけ、二人は本音を語り合います。グウェンはニュートンへの愛情を告白し、ニュートンは彼女の演技を賞賛します。

一方、ニュートンの上司は彼の才能を見抜き、昇進させます。グウェンが去ろうとする中、ニュートンは彼女を呼び止めます。そして、グウェンに倣い、彼らが「過ごした」時間について、風変わりでロマンチックな物語を語り始めます。その物語に心を動かされたグウェンは、ニュートンの元に戻ってきます。

最終的に、二人は結婚し、幸せな日々を送るという、ハッピーエンドで物語は幕を閉じます。しかし、ラストシーンでは、ニュートンが「愛しているよ、グウェン」と呼びかけると、グウェンは「実はジェシカなの」と答えるという、ユーモラスなオチで締めくくられます。

『ハウスシッター/結婚願望』は、軽快なテンポとコミカルな演出、そして心温まる人間ドラマが絶妙に融合した、忘れられないラブコメディです。スティーブ・マーティンとゴールディ・ホーンの素晴らしい演技は、この映画の大きな魅力となっています。一見、軽薄な物語のように見えるかもしれませんが、結婚、家族、仕事、そして本当の愛について、深く考えさせられる作品です。

もう一度検索