ハゲタカ4.5 スパイラル

『ハゲタカ4.5 スパイラル』

概要

『ハゲタカ4.5 スパイラル』は、真山仁が手掛けた経済小説で、人気シリーズ『ハゲタカ』のスピンオフ作品です。この物語は、シリーズの第3作「レッドゾーン」と第4作「ハゲタカIV グリード」にも関連する東大阪の中小メーカー「マジテック」に関するサイドストーリーを中心に展開されます。初めての試みとして、全体のストーリーを大幅に加筆修正しながら新たな視点から再構築されています。

本書は、2015年7月2日に『ハゲタカ外伝 スパイラル』としてダイヤモンド社から刊行され、その後2018年9月14日に改題された形で講談社文庫版が発売されました。また、2019年4月には「スパイラル〜町工場の奇跡〜」というタイトルで、テレビ東京系のドラマBizにてTVドラマ化もされました。

あらすじ

物語の舞台は曙電機から始まります。最高事業再構築者責任者（CRO）の芝野健夫は、かつての恩師ともいえる藤村登喜男の訃報を受け取ります。藤村は三葉銀行船場支店で知り合った中小企業の社長であり、芝野がターンアラウンドマネージャーとしての道を歩むきっかけを与えてくれた恩人でした。通夜で藤村の妻・浅子と会った芝野は、彼女から藤村亡き後の会社の未来について相談を受けますが、存続の可能性は薄いと感じざるを得ません。しかし、芝野は遂に曙電機を辞し、マジテックの専務取締役に就任。彼は望と共に営業活動を始めますが、新たな才能が求められる状況に直面します。

一方、藤村の後を受け継ぐ人材が必要とされる中、正木奈津美は藤村が開発した「MG（マジテック・ガード）」の将来に不安を募らせています。マジテックの再建を目指しつつも、芝野の復讐を企む村尾浩一らの動きには警戒が必要です。

さらに、アメリカの大手化粧品メーカー・日本スプラ社から、藤村が遺した特許を利用した新商品の提案が届き、スプラのグループ会社アメリカン・ドリームキャピタルが経費負担を申し出てきます。芝野はこの好条件に戸惑いつつも、藤村がかつて共に研究していた久万田がアメリカから帰国することに期待を寄せます。

しかし、リーマンショックの影響が徐々に事業に暗い影を落とし始めます。マジテックの主要取引先・英興技巧がホライズンに買収され、その影響で特許権侵害の警告を受ける事態に。芝野はホライズンの真の狙いを探る中で、マジテック・ガードが軍事利用される可能性があることを知り、動揺を隠せません。希実がMGを使えなくなる恐れがある事態を回避するため、芝野はあらゆる手段を模索します。

最終的に、芝野たちはマジテックという会社を失うことになりますが、中森准教授と久万田は新たに「HOPE」という改良版を完成させ、これにより希実の未来を守ることに貢献します。物語は、再生への道のりと、企業の困難に立ち向かう人々の奮闘を描きながら、希望をもって締めくくられます。

登場人物

• - 芝野健夫（しばの たけお）：曙電機の企業再生家。
• - 藤村登喜男（ふじむら ときお）：マジテック創業者。
• - 藤村浅子（ふじむら あさこ）：登喜男の妻で社長。
• - 藤村望（ふじむら のぞむ）：登喜男と浅子の次男。

この作品は、企業の再生、希望、仲間との絆をテーマにしており、読者に感動を与える内容となっています。

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