ハシグロアビ

ハシグロアビ（嘴黒阿比）

ハシグロアビ（学名：Gavia immer）は、アビ目アビ科に属する鳥類の一種です。その名の通り、黒い嘴が特徴で、北アメリカを象徴する鳥としても知られています。

分布

ハシグロアビは、主に北アメリカ大陸北部やグリーンランド沿岸で繁殖します。冬季になると、北アメリカ沿岸、アリューシャン列島、アイスランド、イギリス、スカンジナビア半島沿岸などの地域に渡り越冬します。日本においては、迷鳥として岩手県や青森県での観察記録が報告されています。

形態

体長は約80cmで、ハシジロアビと外見がよく似ていますが、嘴の色で区別することができます。夏羽の成鳥は、頭部から頸にかけて光沢のある黒色を帯びており、喉と側頸には白と黒の縦じま模様が見られます。体の上面は黒色で白い斑点が点在し、下面は白色です。嘴はまっすぐで黒色をしています。冬羽の成鳥は、体の上面がやや灰色がかった黒色になり、下面は白いです。幼鳥は上面が灰色がかった褐色、下面が褐色がかった白色をしています。雌雄同色です。

生態

非繁殖期は主に海上で生活しています。繁殖期には、川や湖の岸辺の地上に浅い窪みを作り、そこに植物を敷いて巣を作ります。一度に2-3個の卵を産み、抱卵期間は約29日間で、雌雄が協力して抱卵します。

人間との関わり

ハシグロアビは、カナダや五大湖地域において、象徴的な存在とされています。ミネソタ州とオンタリオ州では州鳥に指定されており、カナダの一ドル硬貨（ルーニー）にもその姿が描かれています。

また、映画の効果音としても利用されることがあります。特に、寂しげな鳴き声は人里離れた場所を表現する際に効果的ですが、本来の生息地とは異なる場所で使用されることもあります。例えば、アフリカのサバンナでハシグロアビの鳴き声が使用されるなど、誤った使われ方もされています。日本を舞台とした映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密|KUBO_クボ 二本の弦の秘密』では、サギの鳴き声として使用されています。

参考文献

真木広造他　『日本の野鳥590』、平凡社、2000年
荒俣宏　『世界大博物図鑑　別刊1　絶滅・希少鳥類』、平凡社、1993年、34-35頁
マイケル・ウォルターズ著、山岸哲監修、『世界「鳥の卵」図鑑』、新樹社、2006年、34頁

関連項目

日本の野鳥一覧
* 迷鳥

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