ハシム・サチ

ハシム・サチ：コソボの独立に貢献した政治家

ハシム・サチ（Hashim Thaçi）は、1968年4月24日にユーゴスラビア社会主義連邦共和国（現コソボ）で生まれました。彼はコソボの政治家であり、同国の大統領、首相を歴任しました。また、コソボ解放軍（KLA）の政治的指導者としても知られています。

若き日の活動

プリシュティナ大学で哲学と歴史を学んだサチは、学生運動のリーダーとして頭角を現しました。1990年には、スロボダン・ミロシェヴィッチによるコソボの自治権剥奪に抵抗したアルバニア人によって設立されたプリシュティナ大学の初代学生会長に就任しました。1993年には、スイスに亡命し、チューリヒ大学で歴史・国際関係を研究する傍ら、アルバニア民族主義を掲げるマルクス・レーニン主義組織であるコソボ人民運動（LPK）の創設メンバーとなりました。

コソボ解放軍（KLA）での活動

1993年、サチはコソボ解放軍（KLA）の中核メンバーとなり、「蛇（Gjarpëri）」の偽名で活動しました。彼は組織の資金調達、訓練、兵員募集を担当し、アルバニア領内でKLA兵士の訓練を行いました。1997年、セルビア当局によってテロリズム活動の罪で有罪判決を受けました。1999年3月には、ランブイエで行われた和平交渉にコソボ・アルバニア人代表として参加し、コソボの自治を受け入れる意思を示しました。

犯罪活動への嫌疑

サチは、KLAの資金調達のためにヘロインやコカインを西ヨーロッパへ密輸していた疑いが持たれています。KLAは1999年の紛争終結後に解体されましたが、その構成員の多くは新設されたコソボ保護軍に再編され、サチが率いるコソボ民主党（PDK）は地方行政を支配しました。コソボ民主党は、政敵に対する暴力や脅迫を用い、地方当局と協力関係にある犯罪組織を庇護したとされています。サチ自身も、自身が作った『政府』に対する『税金』の名目で現金を取り立てていたとされています。

コソボの独立とその後

2007年の議会選挙でコソボ民主党が勝利し、サチは首相に就任しました。2008年2月17日、コソボはセルビアからの独立を宣言し、サチは初代首相となりました。しかし、2020年には、コソボ紛争時の戦争犯罪や人道に対する罪でハーグの特別法廷に起訴され、辞任と逮捕に至りました。

まとめ

ハシム・サチは、コソボの独立に大きく貢献した一方で、犯罪活動への関与も疑われる人物です。彼の功績と疑惑は、コソボの歴史において複雑な影を落としています。

彼の行動は、コソボの独立運動における光と闇、そして政治と犯罪の境界線の曖昧さを示唆していると言えるでしょう。

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