ハトホベイ州

ハトホベイ州（Hatohobei State）

ハトホベイ州は、西太平洋に位置するパラオ共和国を構成する州の一つであり、その中でも地理的に最も南端に位置しています。パラオの南西諸島と呼ばれる島々のうち、特に南側の部分を占めているのがこのハトホベイ州です。

この州を構成する島々は、地理的に非常に孤立しており、その環境は手つかずの自然が多く残されています。主要な島としてはトビ島があり、ここに州の行政機能が集まる州都ハトホベイが存在します。しかし、これらの島々には人が定住するのに適した場所が限られています。

ハトホベイ州の人口は極めて少ないのが特徴です。2015年に実施された国勢調査によると、州全体の総人口はわずか25人でした。この限られた人口のほとんどは、先述の通り州都が置かれているトビ島に集中して生活しています。パラオ全体の中でも最も人口が少ない州の一つであり、非常に静かで密度が低いコミュニティが形成されています。

州内で日常的に使われている言語もまた特徴的です。パラオ共和国の公用語の一つであるパラオ語ではなく、この地域独自の言語であるトビ語が主に話されています。これは南西諸島に暮らす人々独自の文化的なつながりを示すものであり、言語学的な観点からも興味深い地域と言えます。

外部からのハトホベイ州へのアクセス手段は非常に限られています。州を構成するどの島にも航空機が離着陸できる空港施設は一切存在しないため、訪問するには船を利用するしかありません。パラオの本島などからハトホベイ州へ向かうには、定期的に運航される船便を利用するのが一般的ですが、その頻度は非常に少なく、おおよそ3か月に一度程度とされています。これに加えて、不定期ではありますが、『パラオスポート号』といった船舶を利用したダイビングツアーなどが企画されることもあり、自然豊かな海域を訪れる目的で観光客が立ち寄る機会もあります。しかし、全体としては外部との交通は決して便利とは言えません。

このように、ハトホベイ州はパラオの最南端に位置する、人口が少なく、独自の言語を持ち、アクセスが限られる静かな州です。その孤立した環境ゆえに、手つかずの自然や独自の文化が比較的保たれている地域と言えます。

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