ハナダカトンボ科

ハナダカトンボ科（Chlorocyphidae Cowley）は、トンボ目均翅亜目に属する一群です。カワトンボに似た外見を持ちますが、いくつかの点で異なっています。

形態の特徴

体型: 翅が比較的長い一方で、胴体が短いため、静止時に腹部の先端が翅の端に届きません。
頭部: 額が前方に突き出しており、まるで鼻が高いかのように見えるのが特徴です。この特徴が名前の由来となっています。
体色: 種によって体色は様々ですが、特に熱帯地域に生息する種は、鮮やかな色彩を持つものが多いです。
幼虫（ヤゴ）: カワトンボ類のヤゴと比較して、体が短いのが特徴です。また、尾鰓が通常3枚であるのに対し、ハナダカトンボ科の幼虫は中央が欠けた一対の尾鰓を持ちます。

生息環境

主に山間の渓流域に生息しています。清流を好み、水生昆虫や小動物を捕食しています。

分布

東アジアから東南アジア、アフリカ、そしてオセアニアの一部地域に分布しており、17属116種ほどが確認されています。多様な種が熱帯・亜熱帯地域に集中しています。

日本におけるハナダカトンボ科

日本国内では、ハナダカトンボ属の2種のみが確認されています。これは、ハナダカトンボ科の分布域の最東北端に位置するためです。

ハナダカトンボ科の研究

ハナダカトンボ科は、その独特な形態や生態から、多くの研究者の関心を集めています。特に、幼虫の尾鰓の形状や、体色の多様性に関する研究が進められています。また、生息環境の悪化による個体数の減少が懸念されており、保護対策の必要性が指摘されています。

参考文献

石田昇三・石田勝義・小島圭三・杉村光俊、『日本産トンボ幼虫・成虫検索図説』、(1988)、東海大学出版会

もう一度検索