ハナフェ

ハナフェの成立とその影響

ハナフェ（一一會）は、韓国の朴正煕政権下で生まれた私組織であり、全斗煥と彼の同期が中心になって設立されました。1961年の5・16軍事クーデターを契機に、朴正煕は軍の統制を強化するため、多くの将校に特別な措置を施しました。彼は元将軍たちには生活費を補助し、予備役将軍を大使や国営企業長に配置して、彼らの不満を和らげました。その一方で、新たに育成した若手将校には特に目をかけて育成を行い、全斗煥、盧泰愚、鄭鎬溶といった陸士11期生を重用しました。

この中で、全斗煥は1964年に私組織ハナフェを結成し、朴政権下における軍部内の親衛団からなる権力基盤を築こうとしました。ハナフェの名称は「太陽（朴正煕）のため、祖国のための一つの心を持とう」という意味から来ていると言われています。ハナフェは、このグループが朴正熙政権における主要な軍部の支持勢力と見なされていくこととなります。

ハナフェと青竹会

ハナフェが勢力を持つ一方、同時期には青竹会という別のグループも登場しました。青竹会のメンバーは主に陸士優秀生で構成され、陸士の教授や国防部の関係者が多い特徴がありました。対照的に、ハナフェは運動を好み、戦闘的な野戦将校が多かったため、両者の間で勢力争いが激化しました。この争いの結果、ハナフェは数の上で優位に立ち、全斗煥の朴正煕からの後ろ盾を受けて存続することに成功しました。

ハナフェはその内部で強固なネットワークを形成し、仲間同士で要職を互いにシェアしながら昇進を促進させました。しかし、1973年の尹必鏞事件により、陸軍保安司令官がハナフェを摘発し、全斗煥のリーダーシップが公に明らかとなりました。組織運営には厳格な機密性が求められ、一部のリーダーのみが全体を把握する体制が整備されていました。

ところが、尹必鏞事件においては、ハナフェもまたその存在が注目されながらも最終的には軍内部の不正事件として処理され、明確な責任を問うことはありませんでした。この結果、ハナフェの地位は向上し、全斗煥は権力基盤をより一層強化しました。

粛軍クーデターとその後

1979年に朴正熙が暗殺されると、全斗煥とハナフェのメンバーはすぐに行動に移り、12月に粛軍クーデターを決行しました。以降、全斗煥は韓国の大統領への道を進むことになります。彼は中将、大将への昇進を手にし、1980年には非常戒厳令を敷いて市民のデモを武力で鎮圧しました（いわゆる光州事件）。全斗煥は、その後1981年に盧泰愚を後継者に指名し、盧泰愚は1987年に大統領に選出されました。

ハナフェの終焉

しかし、盧泰愚政権下においては、全斗煥が影響力を保とうとする中で両者の間でねじれらしさが見られました。結局、盧泰愚はハナフェの影響を排除する方向に進み、ハナフェは相対的に弱体化していきました。1993年、金泳三大統領が就任すると、クーデター予防のために軍閥解体に乗り出し、ハナフェは解体されました。

このように、ハナフェは韓国の政治と軍事の歴史において重要な役割を果たした組織であり、その影響は今もなお根強く残っています。

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