ハビャリマナとンタリャミラ両大統領暗殺事件

ハビャリマナとンタリャミラ両大統領暗殺事件

1994年4月6日、ルワンダのジュベナール・ハビャリマナ大統領とブルンジのシプリアン・ンタリャミラ大統領を乗せた旅客機が撃墜された。この事件は、後に続くルワンダ虐殺の引き金となった重要な出来事である。犯人は未だに特定されておらず、ルワンダ愛国戦線（RPF）と右翼過激派の両方が疑われている。

発生背景

事件の背景には、1990年から始まったルワンダ内戦がある。この内戦は、ツチが主導するRPFがウガンダからルワンダに侵攻したことにより勃発した。RPFの多くは、フツ政権による民族排斥から逃れた難民の子孫であり、政権転覆は果たせなかったものの、国境周辺に勢力を築いていった。戦局が膠着状態になると、和平交渉が始まり、1993年にはアルーシャ協定が締結された。しかし、内部対立が続き、国の緊張は高まっていた。

撃墜事件の経緯

事件当日の午後、ハビャリマナ大統領が帰国する際に使用されたダッソー ファルコン 50機が、キガリ国際空港上空で撃墜された。地対空ミサイルが機体に命中し、墜落。乗員と乗客合わせて12名が死亡した。この事件は、周囲にいた多くの目撃者によって瞬時に報告された。

暗殺の影響

この暗殺事件はフツ過激派にとって、ツチに対する激しい攻撃を開始するためのシグナルと捉えられた。ルワンダ虐殺が始まり、その結果およそ80万人が命を落とした。RPFは反撃を開始し、数ヶ月後には新政権を樹立した。

事件後の政治状況

事件があった夜、軍と治安部隊は混乱状態に陥った。大統領警護隊は大統領の家からの帰還を強行し、市民に武器を持って威嚇するなどの行動を見せた。その後、ルワンダは大混乱の中に突入し、フツ過激派による大規模な虐殺が行われることとなる。

犯人への疑惑

撃墜の背後にいるという疑惑は、様々な方向から指摘され続けている。RPFが関与したとする主張や、フツ過激派が自らの利益のために行ったとする説が存在する。特に、反体制派の中からは、暗殺を命じたのは後にルワンダ大統領となるポール・カガメだという意見も出されている。

遺体の行方

ハビャリマナ大統領の遺体はザイールに移送された後、非公開の安置所に保管されたが、1997年に火葬される運命を辿った。このような背景から、暗殺事件の真相とその影響は、今もなお解明されていない部分が多い。

結論

ハビャリマナとンタリャミラ大統領の暗殺事件は、ルワンダにおける民族間の憎悪を助長し、歴史的な悲劇、ルワンダ虐殺へと進む重要な転換点となった。事件の詳細や真犯人についての議論は現在に至るまで続いており、事件の背景や結果を理解することは、ルワンダの歴史において不可欠である。

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