ハリウッド★ホンコン

香港の光と影：映画『ハリウッド★ホンコン』の世界

2001年、香港、日本、フランスの合作により誕生した映画『ハリウッド★ホンコン』（原題：香港有個荷里活）は、フルーツ・チャン監督による「娼婦三部作」の2作目として知られています。この作品は、香港社会の現実を鋭くえぐり出す社会派ドラマであり、商業的な成功だけでなく、数々の映画賞を受賞した高い評価を受けています。

物語の舞台：対照的な二つの世界

映画の舞台は、香港に残された最後のバラック小屋が立ち並ぶ下町・ダイホム村です。そのすぐ隣には、超高層マンションが林立するプラザ・ハリウッドという、まるで別世界の風景が広がっています。この対照的な二つの世界が、物語の重要な背景として描かれています。

ダイホム村の人々：焼豚屋と出会い系サイト

ダイホム村で焼豚屋を営むチュウ家は、父親と二人の息子、ミンとサイで暮らしています。一方、同じ村に住むウォン・チーケンは、インターネットで出会い系サイトを運営し、女性との関係から金を得て生活しています。彼らの生活は、ダイホム村の現実を象徴するものです。

トントンとホンホン：運命の交錯

ある日、チーケンはネット上で「上海天使」というハンドルネームのホンホンと出会い、関係を持ちます。一方、チュウ家の息子、サイは、焼豚屋を手伝っていたトントンという少女と友人になります。トントンは、実はホンホンと同一人物です。

予想外の展開：未成年者への性的暴行とその後

チーケンは、未成年であるホンホンへの性的暴行で訴えられます。慰謝料として5万ドルの支払いを命じられた彼は、取立て屋に襲われ、右腕を切り落とされてしまいます。さらに、別の男の左腕をつけられるという、予想外の事態に巻き込まれます。最終的に、15万ドルの請求が来ます。そこで、彼はホンホンとトントンの同一人物であることを知ることになります。

逃亡と追跡：ハリウッド地区でのクライマックス

サイからトントンの住所を聞き出したチーケンは、包丁を持ってハリウッド地区に走ります。サイは屋根の上からトントンに「逃げろ」と合図を送ります。チーケンとミンがトントンの部屋に駆け込むと、そこはもぬけの殻となっていました。

映画製作の裏側：ロケ地とキャスティング

映画の舞台となったダイホム村は、映画公開前までに再開発によって完全に撤去されました。撮影当時も、村のほとんどがすでに無人化されており、ロケハンには多くの困難が伴ったと伝えられています。

チュウ家役の俳優たちは、いわゆるプロの俳優ではなく、「太った家族」というイメージに合うようにキャスティングされた素人の方々です。偶然にも、ミン役の俳優は焼豚屋の店員という経歴を持っていました。

受賞歴：高い評価と記録

『ハリウッド★ホンコン』は、2002年の第39回金馬奨において、最優秀監督賞、最優秀音響効果賞、最優秀プロダクション・デザイン賞を受賞しました。さらに、14部門ものノミネートという記録も残しています。他にも、シネマニラ国際映画祭や香港批評家協会賞などでも受賞しており、その高い評価は、映画の内容と製作の努力を物語っています。

まとめ：香港社会の縮図

『ハリウッド★ホンコン』は、香港の貧富の差、急速な都市開発、そして若者たちの葛藤をリアルに描いた作品です。ダイホム村という、消えゆくコミュニティを通して、香港社会の複雑な一面が浮き彫りにされています。この映画は、単なるエンターテイメント作品ではなく、社会問題を考えるきっかけを与えてくれる、重要な作品と言えるでしょう。

もう一度検索