ハレンキルヘ

ハレンキルヘ（Hallenkirche）は、後期ゴシック建築において、特にドイツやフランスのポワトゥー地方を中心に広まった建築様式です。この様式は、バシリカ式教会堂の一種であり、ホール式、広間式教会堂とも呼ばれます。

概説

ハレンキルヘは、交差リブ式バルダキンの技術を受け継ぎつつ、バルダキン建築の理念をより純粋な形で表現したものです。採光と構造が自然な形式で統合されており、バルダキンの高さと相まって、内部空間は非常に明るく、超現実的な雰囲気を醸し出します。補強支持システムも簡素で自然な印象を与えます。大聖堂とは異なり、ハレンキルヘは単一の形態を重視し、過度な幻視的要素を排除しています。この点は宗教建築としての欠点とも言えます。

歴史

盛期ゴシックと後期ゴシックの境界は明確ではありませんが、大聖堂とハレンキルヘの対立からハレンキルヘの成立過程を理解することができます。この対立には多くの理由があり、政治的には1152年にポワトゥー地方が王領の強力な敵対勢力下にあったことが挙げられます。当初、地域間の差異性を誇示するために大聖堂を凌駕しようとする動きがありましたが、サン・ピエール大聖堂がヘンリー2世とその妻アリエノールによって寄進されたことを機に、共通性を重視した和解の探求が始まりました。この探求からハレンキルヘが誕生したと言えるでしょう。この世代間の対立は、「北部」と「南部」という地域的な対立にまで拡大しました。

ハレンキルヘの影響はヨーロッパ全体に及びましたが、フランスでは比較的限定的でした。これは、ヨーロッパの多くの地域で大聖堂に対する反発があったことと関連しています。ハレンキルヘは市民教会堂や托鉢修道会教会堂によって支持され、ゴシックにおける二つの反大聖堂形式の一つとなりました。しかし、純粋なハレンキルヘには、バルダキンの引き上げや祭壇への方向性確立などの修正が加えられ、ロマネスクのハレンキルヘに近い「段形教会堂」、すなわち「偽バシリカ式ホール」と呼ばれる形態へと変化していきました。この変化した形態は、純粋なホール形式よりも、全ヨーロッパに持続的な影響を与えました。

ハレンキルヘは、その開放的で明るい空間構成が特徴であり、宗教建築としての機能性と同時に、市民生活における集会所のような役割も果たしました。その構造的な特徴は、ゴシック建築の多様性と変化を示す好例と言えるでしょう。

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