ハワイロア

ハワイロア：伝説と現代技術の融合

ハワイロアは、ハワイ諸島への人類定住に関する伝説に名を残す人物です。ハワイ語で様々な表記が見られますが、いずれも同一人物を指します。伝説では、ハワイロアは偶然ハワイ諸島を発見し、故郷へ戻って家族や漕ぎ手を伴い、再びハワイへ渡航したと伝えられています。ハワイ諸島の島々の名前の由来は、彼の子供たちの名前に由来するという説もあります。この伝説は、ハワイの歴史と文化を理解する上で重要な役割を果たしています。

ハワイロアという名前は、1993年に建造された双胴船にも用いられています。この船は、ポリネシア航海協会が古代ポリネシアの航海技術を再現する目的で建造したものです。ポリネシア航海協会は、これ以前にホクレア号を建造していましたが、ハワイロア号の建造には新たな挑戦がありました。

双胴カヌー「ハワイロア号」の建造：伝統と現代技術の融合

当初、ハワイアン・コア材を用いた建造が計画されましたが、乱伐と環境破壊により、適切な木材がハワイ諸島に存在しないことが判明しました。そこで、ポリネシア航海協会は方針を転換し、北米大陸からの木材利用を検討します。ハワイ諸島に漂着した北米産流木でカヌーが建造された歴史的経緯も考慮されました。

その後、協会はクリンギット族など北米先住民の協力を得て、航海カヌーに使用できる木材の提供を受けました。興味深いことに、木材の提供は商業取引ではなく、無償贈与という形でなされました。これは、北米先住民が同じくマイノリティであるハワイの人々への支援という、文化的な背景が強く影響していると考えられています。

様々な困難を乗り越え、1993年に完成したハワイロア号は、1995年にソシエテ諸島を経由してマルケサス諸島への往復航海を成功させました。この航海は、古代ポリネシア人が用いたとされる星による航法（スター・ナヴィゲーション）を用いて行われました。航海ののち、クリンギット族、トリンギット族、ハイダ族への表敬訪問も行われました。その後、ハワイロア号は保存のため現役を退き、現在では陸上にて保存されています。

ハワイロア号：先例と意義

ハワイロア号は、近代において木材を用いて建造されたポリネシア式航海カヌーの1つではありますが、最初の例ではありません。1970年代にはタウマコ島で、1980年代にはタヒチで同様の試みが成功しています。これらの試みは、古代ポリネシア人の航海技術の復元、そして太平洋諸島における文化交流に大きく貢献しました。ハワイロア号の建造と航海は、単なる技術的な偉業にとどまらず、文化的な交流と歴史の再解釈という重要な意味を持っています。ハワイロア号は、ハワイの文化と歴史、そしてポリネシア航海の伝統を現代に伝える貴重な存在なのです。

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