ハワード (時計)

ハワード：アメリカが生んだ高級時計の歴史

ハワード（Howard）は、19世紀から20世紀にかけてアメリカで隆盛を極めた時計会社であり、そのブランド名です。特に高級懐中時計、置時計、塔時計の製造で知られ、その精密さと美しいデザインは、多くの人々を魅了しました。

創業と発展

ハワードの創業者であるエドワード・ハワードは、時計製造における先駆者でした。彼は、後にライバルとなるウォルサムの創業にも深く関わっており、その経験を活かして1842年にボストンで自身の時計会社「E. Howard Clock Co.」を設立しました。その後、1861年に「Howard Watch and Clock Co.」と社名を変更し、懐中時計の製造にも本格的に参入しました。

日本との関わり

ハワードの名前が日本で広く知られるようになったのは、札幌市時計台の機械を製造したメーカーであること、そして非常に高品質な懐中時計を作ったメーカーであること、またインターナショナル・ウォッチ・カンパニー（IWC）の創業者であるフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズがスイスに渡る前に在籍していた会社として知られているからです。札幌市時計台の時を刻む機械は、今もなおハワード社の技術力の高さを物語っています。

オールドハワードとキーストンハワード

ハワードの懐中時計は、大きく分けて「オールドハワード」と「キーストンハワード」の2種類があります。オールドハワードは、キーストンに買収される以前に製造されたもので、その精度表記は独特でした。犬（Hound）の刻印は無調整、馬（Horse）の刻印は温度調整のみ、鹿（Deer）の刻印は6姿勢及び温度調整を表していました。一方、キーストンハワードは、懐中時計ケースメーカーのキーストンが1903年にハワードブランドでの製造販売権を取得した後に製造されたものです。キーストンハワードも品質は優れていますが、オールドハワードの血統にあるとは言えないという評価もあります。

塔時計

ハワードは塔時計の製造でも実績を残しており、国内では札幌市時計台、海外ではハワイ州ホノルルのアロハタワーの棟時計がハワード社製として知られています。これらの時計は、現在もメンテナンスされ、時を刻み続けています。

その後

エドワード・ハワードは1882年に引退し、1903年にはクロック製造部門が「E. Howard Clock Co.」として独立、懐中時計を販売する権利はキーストンに売却されました。その後、1927年にはハミルトンにブランドが売却され、1933年には「Howard Clock Products Co.」となりました。そして現在、ハワードの商標はスウォッチグループが保有しています。

ハワードは、アメリカの時計産業の発展に大きく貢献した企業であり、その技術と伝統は、今もなお世界中の時計愛好家から愛されています。その名は、時代を超えて、人々に正確な時を告げ続けています。

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