ハンドベル

ハンドベルについて

ハンドベル（Handbell）は、17世紀にイギリスで生まれた楽器で、正確にはイングリッシュハンドベルと呼ばれています。当初、教会のタワー・ベルの技術練習用として開発されましたが、アメリカに渡ることで独立した楽器としての発展を遂げました。現在では、賛美歌や多様なジャンルの音楽を演奏するための楽器として広く親しまれています。

構造と特徴

ハンドベルの基本的な構造は、青銅製の鐘（キャスティング）と、その内部にある振り子（クラッパー）、そしてプラスチック製または革製のハンドルから成り立っています。ハンドベルのサイズは小さいものだと約200グラム、大きなもので約8キログラムです。そして、音を出す際には、ハンドルを握ってベル全体を振ることによってクラッパーがキャスティングに当たり、音が生じます。

ハンドベルの奏法には、基本的な音を出す「リング」を始め、細かく振動させる「シェイク」、ベルを下に置いた状態でクラッパーを持ち上げて音を出す「プラック」、スポンジにベルを打ち付ける「マルテラート」、さらにベルを体の後方に降ろしたり上げたりする「スウィング」など、さまざまなテクニックがあります。他の楽器と組み合わせて演奏することもあり、特にアンサンブル演奏が盛んです。

演奏者は「リンガー」と呼ばれ、音の割り振りを「アサイメント」と言います。また、演奏グループは「クワイア」と称されます。その特性上、各ベルはそれぞれの音に対応し、演奏するには必要な音階分のベルが揃っていることが求められます。例えば、5オクターブのハンドベルを揃えるには約300万円が必要となるため、コストを抑えるために鉄や真鍮製の安価なハンドベルも日本で生産され、「ミュージックベル」と呼ばれています。

ハンドベルとハンドチャイムの違い

ハンドベルに似た楽器としてハンドチャイムが存在します。これは棒状の形をしており、音色が近く、奏法がほぼ同じであるため、広義にハンドベルと呼ばれることもありますが、厳密にはクラッパーの動く方向が異なります。なお、ハンドベルは銅と錫の合金から作られており、素手で触れると錆が生じてしまうため、演奏時には手袋の着用が推奨されています。

演奏に必要なベルの数

ハンドベルは一つのベルが一音しか出せないため、曲を演奏するには通常、2オクターブ（25個）から6オクターブ（73個）のベルが必要です。通常は1人が4から5個のベルを担当し、場合によっては8人から15人程度のグループで演奏されることが多いです。

ハンドベルの製作と日本の作曲家

有名なハンドベルのメーカーには、アメリカのシューマリック社とマルマーク社があります。また、日本には多くのハンドベル作曲家が存在し、彼らの作品は国内外で演奏されています。例えば、芦田京子、安孫子治、阿部望などがその代表的な作曲家です。

参考文献

先人たちの貴重な知識によって形成されてきたこの楽器は、今後も多くの人々に愛され続けることでしょう。

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