ハンニバル (映画)

映画『ハンニバル』



『ハンニバル』は、2001年に公開されたアメリカ・イギリス・イタリアの合作映画で、トマス・ハリスによる小説を原作としている。監督は名匠リドリー・スコットで、前作『羊たちの沈黙』の続編に位置付けられる。作品はR-15指定を受けており、暴力的で猟奇的なシーンが多く含まれているため、視聴には注意が必要である。

あらすじ


物語は、全米を震撼させた「バッファロー・ビル事件」が発生してから10年後から始まる。ボルティモアの富豪であるメイスン・ヴァージャー（ゲイリー・オールドマン）は、精神病院から脱走したハンニバル・レクター（アンソニー・ホプキンス）の足取りを追う。
メイスンは小児愛者であり、かつてレクターの治療を受けた際に昏睡状態となり、その隙に多くの傷を負った。彼は激しい復讐心を抱いており、レクターを捕えるための協力者としてFBI特別捜査官のクラリス・スターリング（ジュリアン・ムーア）を復帰させようとする。

クラリスは、当時の銃撃戦で多数の犠牲者を出し、遺族から告訴されて窮地に陥っていたが、メイスンは彼女の存在に気付き、司法省のポール・クレンドラー（レイ・リオッタ）を使って彼女にレクターの捜査を再開させようとする。

一方、レクターはイタリアのフィレンツェに身を隠していた。そして、彼がクラリスに手紙を送ったことで、特殊なスキンクリームの香りが追跡され、ついに捜査が進展する。地元警察のパッツィ刑事は、懸賞金を狙ってレクターを逮捕しようとするが、彼の危険性に警告したクラリスの助言を無視してしまう。結果、パッツィは逆に命を落とすことになる。

クレンドラーはメイスンに賄賂を渡され、クラリスを停職処分にすることに。しかし、この謹慎の裏にはメイスンが仕掛けた罠があり、実はクラリスがレクターとつながっていると疑わせるための策略だった。やがてクラリスは、メイスンの手下たちによってレクターが捕らえられる状況に直面し、一人で彼の屋敷に乗り込む。

屋敷では、レクターが生け贄となる猪に自らを取り囲まれる状況が展開し、クラリスはレクターを救出することに成功するが、彼女は負傷し、気を失ってしまう。目を覚ますと、彼女はクレンドラーの豪華な別荘にいて、奇妙な状況が続いていた。レクターは彼を監禁するために薬を投与したクレンドラーの脳を調理して、異様な食事を用意していた。

その後、レクターとクラリスはFBIによって救出されるが、二人の間には緊張感が漂う。映画のラストでは、国際線の飛行機でレクターが変装して現れ、自ら持ち込んだ料理を隣の少年に優しく分け与えるシーンで締められる。この場面は、レクターの異常性と同時に優しさも垣間見ることができる象徴的なものとして描かれている。

登場人物



作品の背景


原作と映画では結末が大きく異なることも話題に。特に、クラリス役には当初ジョディ・フォスターがキャスティングされていたが、彼女が降板した結果ジュリアン・ムーアが代役を務めることになった。音楽には、バッハの曲やダンテの文学をもとにした楽曲が使用されており、映画の緊張感と美を増幅させている。

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