ハートボール

ハートボール（The Winning Season）

2009年に製作されたスポーツコメディ映画『ハートボール』は、ジェームズ・C・ストラウスが監督・脚本を手がけ、サム・ロックウェルが主演を務めた作品です。日本では劇場公開されず、2013年にDVDがリリースされました。

概要

本作は、『さよなら。いつかわかること』で脚本家として評価されたジェームズ・C・ストラウスの監督作品であり、俳優サム・ロックウェルを主演に迎え、女子バスケットボールを題材にしています。かつて花形選手だった栄光の時代から一転、現在は人生のレールから外れてしまった主人公が、高校の女子バスケチームを指導することを通して、自身も再生していく過程を描く、ハートウォーミングな物語です。主人公のコーチ役を、演技派として知られるサム・ロックウェルが演じ、選手としても父親としても挫折を経験した複雑な心情を表現しています。共演者には、後に活躍するルーニー・マーラやエマ・ロバーツといった若手女優に加え、ロブ・コードリーやベテランのマーゴ・マーティンデイルらが脇を固め、物語に深みを与えています。

アメリカでは2009年のサンダンス映画祭で初披露され、その後に全米公開されました。一方、日本では映画館での上映機会はなく、数年後の2013年に家庭用ソフト（DVD）として初めて紹介される形となりました。

ストーリー

主人公のビル（サム・ロックウェル）は、高校時代にはバスケットボールのコートで輝きを放つ花形選手でした。しかし、時は流れ、現在の彼はレストランで働く一介の皿洗い。周りには責任が少ない今の仕事に満足しているかのように振る舞いますが、かつての栄光と比べるまでもなく、現状はまるで天国と地獄の差。心の中では生きる希望すら失いかけています。結婚生活は破綻し、思春期の娘との関係も冷え切っています。

そんなある日、ビルの人生に転機が訪れます。かつての高校の同級生で、現在は地元高校の校長を務めるテリー（ロブ・コードリー）から、女子バスケットボールチームのコーチを引き受けてほしいと頼まれるのです。最初は戸惑いを隠せないビルでしたが、やがてその依頼を受け入れ、再びバスケの世界に戻ることを決意します。意を決して体育館に足を踏み入れたビルを待っていたのは、想像を絶する光景でした。チームのメンバーはわずか6人。しかも、バスケへの情熱はおろか、思春期特有の無関心さや反抗心を示す女子生徒たちばかりです。彼女たちとの接し方さえ分からないビルは、その現実に呆然とします。

それでも、ビルの不器用ながらも真摯な指導が始まります。生徒たちもまた、最初はだらしない雰囲気のビルに反感を抱きますが、彼の内にあるバスケへの情熱や、自分たちと向き合おうとする姿勢に触れるうち、少しずつ心を開いていきます。ビルはバスの運転手であるドナ（マーゴ・マーティンデイル）を助手として雇い、チームを支えてもらいます。チームとビルの間には、次第に信頼関係が芽生え始め、すべてが順調に進んでいるかに見えました。

しかし、そんな矢先、個人的な問題、特に娘との関係が再び悪化したことが引き金となり、ビルは酒に溺れてしまいます。チームとの絆が深まり、彼自身の人生にも希望が見え始めていた時期に訪れたこの試練は、物語を予期せぬ方向へと導いていきます。

キャスト・スタッフ

主な出演者

ビル：サム・ロックウェル
アビー：エマ・ロバーツ
テリー：ロブ・コードリー
ウェンディ：ルーニー・マーラ
キャシー：エミリー・リオス
ステイシー：ジェシカ・ヘクト
ドナ：マーゴ・マーティンデイル
デイモン：コナー・パオロ

スタッフ

監督 / 脚本：ジェームズ・C・ストラウス
製作：カーラ・ベイカー、ジャナ・ダニエラ、タプリン・ランドバーグ、ジア・ウォルシュ
製作総指揮：ダニエル・クラウン、アンドレア・グラノ、ジョゼフ・グラノ、ニック・クエステッド
音楽：エドワード・シェアマー
撮影：フランク・G・デマルコ
編集：ジョー・クラッツ

外部リンク

* The Winning Season - IMDb（英語）

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