ハート・シェイプト・ボックス

ニルヴァーナ「ハート・シェイプト・ボックス」徹底解説

「ハート・シェイプト・ボックス」(Heart-Shaped Box)は、1993年にリリースされたニルヴァーナを代表する楽曲の一つです。カート・コバーンの内面世界を深く反映した歌詞と、印象的なミュージックビデオは、多くのファンを魅了し続けています。

楽曲誕生の背景

この曲は、カート・コバーンが妻であるコートニー・ラヴにリフを書いて欲しいと頼まれたことがきっかけで生まれました。カートがウォークインクローゼットの中でギターを爪弾いていたところ、ラヴが「そのリフ使うの？」と尋ねると、カートは不機嫌そうに扉を閉めてしまったというエピソードが残っています。このリフが、後に「ハート・シェイプト・ボックス」の核となる部分になったのです。

歌詞に込められた意味

「Heart-Shaped Box」は直訳すると「ハート型の箱」という意味です。これは、カートとコートニーが出会った頃、コートニーがカートの気を引くために、人形や乾燥したバラなどを詰め、香水を振りかけたハート型の箱をデイヴ・グロール経由でカートに渡したことが由来となっています。歌詞の内容は、カートが伝記作家に語ったところによると、癌に苦しむ子供たちのドキュメンタリーに影響を受けているとのことです。原題は「Heart-Shaped coffin」(ハート型の棺)でしたが、カートが当初考えていたアルバム名と同様に、ダークすぎるという理由で変更されました。

ミュージックビデオ

当初、ミュージックビデオの監督はケヴィン・カースレイクが予定されていましたが、コートニー・ラヴの提案によりアントン・コービンが担当することになりました。カートはビデオの内容について細かく構想しており、その中には作家のウィリアム・S・バロウズを出演させるというアイデアもありました。しかし、バロウズに断られたため実現には至りませんでした。

ビデオの内容は、病院のベッドに横たわる痩せた老人を中心に展開されます。場面は変わり、カラフルな風景の中で、サンタクロースの帽子を被った男が十字架にかけられている様子が映し出されます。この老人の役は、当初バロウズに依頼する予定でしたが、断られたため別の俳優が起用されました。しかし、その俳優も癌を患っており、撮影中に倒れて救急車を呼ぶ事態もあったそうです。

このビデオは、ニルヴァーナにとって最後のミュージックビデオとなりましたが、1994年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでベスト・オルタナティブ・ビデオを受賞しています。

その他の情報

収録曲: ハート・シェイプト・ボックス、ミルク・イット(LPバージョン)、マリゴールド
演奏: [カート・コバーン]、[クリス・ノヴォセリック]、[デイヴ・グロール]
* カバー: ジャック・ホワイト、ラミン・ジャヴァディ

「ハート・シェイプト・ボックス」は、ニルヴァーナの音楽の中でも特に深遠なテーマを扱った楽曲であり、カート・コバーンの苦悩や葛藤が色濃く反映されています。ミュージックビデオの映像と合わせて、ニルヴァーナの世界観を深く理解するための重要な作品と言えるでしょう。

※出典: 参考文献リスト（必要に応じて追加）

もう一度検索