ハードコア (2015年の映画)

映画『ハードコア』の特徴とストーリー

『ハードコア』（ロシア語: Хардкор、英語: Hardcore Henry）は、2015年に公開されたロシアとアメリカの共同制作によるSFアクション映画です。本作は、イリヤ・ナイシュラーが監督・脚本を手掛け、全編が一人称視点で制作されている点が最大の特徴です。このユニークな視点の影響で、観客は主人公と同じ体験をするかのような没入感を味わうことができます。

製作背景と公開

本作は、監督イリヤ・ナイシュラーがフロントマンを務めるロシアのロックバンド「バイティング・エルボウズ」のミュージックビデオからインスパイアを受けて制作されました。彼のビジュアルスタイルが高く評価され、プロデューサーのティムール・ベクマンベトフの助言で、同様の手法を用いて映画が作られることとなりました。

2015年にはカナダのトロント国際映画祭で初めて上映され、観客賞を受賞。2016年にはアメリカで約3000館で公開され、初週の興行成績で5位を記録しました。日本では、2016年9月24日にカナザワ映画祭の一環としてジャパンプレミアが行われ、翌年の4月1日には劇場公開を果たしました。

撮影技術と演出

映画のほとんどのシーンは、主人公ヘンリーの視点で撮影されています。スタントマンの頭部に装着されたGoPro Hero 3を使用し、リアルな臨場感を生み出しています。特筆すべきは、ヘンリーの声が一切登場しないため、主演男優や女優のクレジットがない点です。ナイシュラー自身もスタントマンとして出演し、その迫力あるアクションシーンを演じています。

また、本作は人気ゲーム「PAYDAY 2」とのコラボレーションも行われており、俳優シャールト・コプリーが同タイトルでキャラクターを演じています。

ストーリー概要

物語は近未来の舞台で、主人公ヘンリーがロシアの高空にある研究施設で目を覚ますところから始まります。彼は重傷を負い、記憶を失った状態で発見され、自分の妻を名乗るエステルによってサイボーグ手術を受けます。切断した手足の修復が進められる中、施設はエイカンという男に襲撃され、エステルはさらわれてしまいます。

ヘンリーはダーティな状況の中で追い詰められ、別の男ジミーに助けられます。ジミーは過去にエイカンの下で働いていた人物で、復讐心から自分のクローンを量産しているという背景があります。ヘンリーとジミーは共闘し、エイカンの手下たちとの壮絶な戦闘に挑むことになります。

ストーリーでは、サイボーグの改造や、エイカンによる死人の量産計画が重要な要素となり、二人がエステルを取り戻すためにどのように戦っていくのかが大きな見どころとなっています。

キャスト

本作には多彩なキャストが登場します。ヘンリー役はセルゲイ・ヴァルヤエフやイリヤ・ナイシュラーなど複数の俳優が担当。ジミー役はシャールト・コプリー、エイカン役はダニーラ・コズロフスキーがそれぞれ演じています。エステル役にはヘイリー・ベネットが配役されており、物語の重要なキーキャラクターたちが織りなすドラマが展開されます。

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