ハード・トゥ・キル

『ハード・トゥ・キル』（原題：Hard To Kill）は、1990年に製作・公開されたアメリカ合衆国のアクション映画です。主演は合気道をベースとした独特の格闘スタイルで人気を博したスティーヴン・セガールが務め、彼自身の身体能力を活かした激しいアクションシーンが見どころとなっています。ブルース・マルムースが監督を務め、スティーブン・マッケイが脚本を手掛けました。物語は、主人公が経験した悲劇と、それに対する容赦ない復讐を描く、セガール主演作の中でも初期の代表的な作品の一つです。

あらすじ

物語の中心となるのは、ロサンゼルス市警察の敏腕刑事、メイソン・ストームです。彼はある夜、偶然にも政界の有力者である上院議員が関わる非合法かつ極めて危険な取引、具体的には殺人計画の現場を隠し撮りすることに成功します。この決定的瞬間を収めたテープを手にしたメイソンは、正義感からこの不正を暴こうとしますが、これが悲劇の始まりとなります。

自身にとって不都合な証拠をメイソンが握っていることを知った上院議員は、自らのキャリアと地位を守るため、メイソンとその家族を抹殺することを決定します。議員が差し向けた凶悪な暗殺者たちは、深夜にメイソンの自宅を急襲します。この残忍な襲撃により、メイソンの最愛の妻は命を落とし、彼自身も全身に複数の銃弾を受ける瀕死の重傷を負います。幸いにも幼い息子のサニーは、この惨劇から間一髪で逃れることができましたが、メイソン家は完全に破壊されてしまいます。

メイソンは奇跡的に一命を取り留めますが、受けた傷があまりにも深く、意識が戻らないまま昏睡状態に陥ります。そのまま長い年月が経過し、気がつけば7年もの時が流れていました。病院のベッドで眠り続けていたメイソンは、まるで眠りから覚めるかのように意識を取り戻します。しかし、失われた7年間と、何よりも愛する妻を殺されたという現実は、彼の心に深い傷と燃え盛る復讐心を植え付けます。

意識を取り戻したメイソンは、復讐を誓います。彼は、自身を襲い、妻を殺した者たち、そしてその背後にいる黒幕である上院議員への報復を計画します。長い昏睡状態から覚めたばかりの体でしたが、メイソンは驚異的な回復力と強い意志でリハビリに取り組み、かつて刑事として培った戦闘技術と合気道の心得を再び研ぎ澄ませます。看護師のアンディ・スチュワートの献身的なケアや、かつての警察の同僚たちの協力を得ながら、メイソンは自らの人生を破壊した者たちへの追跡を開始します。ここから、メイソンによる、情け容赦ない壮絶な復讐の旅が始まるのです。彼は、自らに向けられた暴力に対し、それ以上の力を持って立ち向かっていきます。

キャスト・スタッフ

主演のスティーヴン・セガールが主人公メイソン・ストームを演じました。その他の主要キャストには、看護師のアンディ・スチュワート役でケリー・ルブロック、黒幕の上院議員役でウィリアム・サドラーなどが名を連ねています。監督はブルース・マルムース、脚本はスティーブン・マッケイが担当しました。

関連情報

本作の公開に関連して、主演のスティーヴン・セガールの私生活に関する興味深いエピソードがあります。彼は本作で共演した女優ケリー・ルブロックと、映画の撮影が始まる前の1987年9月5日に結婚しています。二人の結婚生活は1996年まで続きました。また、主人公メイソン・ストームの息子であるサニー・ストームの名前に関しては、日本語吹き替え版における特徴的な誤訳が存在します。オリジナルの設定では「サニー（Sonny）」ですが、テレビ朝日系列で放送された際の日本語吹き替え版では「トニー」と呼ばれていました。しかし、劇中には息子の部屋のドアに「SONNY'S ROOM」と書かれた張り紙が映るシーンがあり、これがオリジナルの名前がサニーであることを明確に示しています。

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