ハーバート・モーンドレル

ハーバート・モーンドレル：日本近代化に貢献した英国人宣教師

ハーバート・モーンドレル（Herbert Maundrell, 1840年 - 1896年）は、英国聖公会宣教協会(CMS)の宣教師として、日本におけるキリスト教の伝道と教育に多大な貢献をした人物です。1875年に長崎に渡り、長崎神学校（長崎聖アンデレ神学校）や出島・英和学校の設立に尽力しました。

生涯と業績

モーンドレルは1840年にイギリスで生まれ、イズリントンのチャーチ・ミッショナリー神学校で神学を学びました。卒業後、1863年に執事、翌年には祭司に按手され、モーリシャス島での伝道活動を経て、1864年にマダガスカルへ赴任します。マダガスカルとモーリシャスで10年間伝道活動を行った後、1875年（明治8年）に来日しました。

長崎での活動

長崎では、まず日本語を習得し、水科五郎伝道師の協力を得ながら伝道活動を展開しました。1877年には、日本最古のプロテスタント神学校である長崎神学校を開設。モーンドレルは特に選んだ青年たちに聖書と英語教育を行い、グッドオール女史が英語を教えました。

1879年には、出島教会に隣接して「出島・英和学校」を開校し、英語教育と裁縫教育を行いました。また、グッドオール女史が女子塾「ガールズ・トレーニング・ホーム」（後の長崎女学校）を開校するなど、女子教育にも力を注ぎました。

教育機関の設立と発展

長崎神学校（長崎聖アンデレ神学校）: 日本におけるプロテスタント神学教育の先駆けとして、多くの人材を育成しました。木庭孫彦、洪恒太郎などが卒業生として知られています。1884年に大阪聖三一神学校と合併し、その役割を終えました。
出島・英和学校: 小学科、英語塾、裁縫塾を併設し、地域社会の教育に貢献しました。生徒数減少により閉校しましたが、校舎は長崎神学校の校舎として再利用されました。
ガールズ・トレーニング・ホーム（長崎女学校）: 女子教育の機会を提供し、女性の地位向上に貢献しました。グッドオール女史の献身的な指導により発展し、後に大阪プール女学校と合併しました。

その他の活動

モーンドレルは長崎での活動の傍ら、佐賀、熊本、鹿児島でも教会を開拓し、伝道者を定住させるなど、九州地方におけるキリスト教の普及に尽力しました。

1893年に病気のため引退し帰国。

遺産

モーンドレルの功績は、日本のプロテスタント教会と教育の基礎を築いたことにあります。彼が設立した学校や育成した人材は、日本の近代化に大きな影響を与えました。

長崎出島には、旧出島神学校（旧出島英和学校）の建物が現存しており、モーンドレルの活動を今に伝える貴重な遺産となっています。また、グラバーが寄贈した鐘は、震災で落下後、銀座教会で再利用され、「長崎出島の鐘」が「銀座の鐘」として生まれ変わったというエピソードも残っています。

参考資料

『日本キリスト教歴史大事典』教文館、1988年

関連項目

* 日本のプロテスタント教会一覧

モーンドレルの生涯は、異国の地で信仰と教育に生涯を捧げた宣教師の模範として、記憶されるべきでしょう。

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