ハーバード大学デザイン大学院

ハーバード大学デザイン大学院（GSD）について

ハーバード大学デザイン大学院（Harvard Graduate School of Design, GSD）は、デザイン分野における世界的な教育・研究拠点です。プロフェッショナルスクールとして、建築、ランドスケープ・アーキテクチュア、都市計画という3つの主要分野で修士および博士課程を提供しています。学部レベルではデザイン関連の学科は設置されていません。

GSDは、単にデザインスキルを教えるだけでなく、環境デザイン学を重視しており、特に大地をデザインする建設分野に重点を置いています。これは、グラフィックデザインやプロダクトデザインといった、より広い意味での「デザイン」とは異なる特徴です。

歴史と特徴

GSDは、1874年に始まった建築学コースを起源とし、1893年にはアメリカ初のランドスケープ・アーキテクチュアプログラムを、1900年には北米最古の都市計画プログラムを設立しました。1936年には、これらの3つの分野が正式に統合され、現在のGSDが誕生しました。

GSDは、世界で最も歴史のあるランドスケープアーキテクチュアプログラムや、北米で最も古い都市計画プログラムを有しており、デザイン分野における学術的なリーダーシップを確立しています。世界中から集まる多様な学生と教員によって、活気に満ちた学習環境が形成されています。

プログラム概要

GSDでは、以下の専攻分野で修士課程と博士課程を提供しています。

建築学: M.Arch I、M.Arch IIの2コースがあります。
ランドスケープ・アーキテクチュア: MLA I、MLA II、MLAUD（アーバンデザイン）の各コースがあります。
* 都市計画学: MUP Iコースと、M.DesS（デザイン研究修士）の6つのコースがあります（CADデザイニング、建築史および理論、ランドスケーブとエコロジー、不動産開発、環境テクノロジー、発展途上国開発）。

修士課程には、デザイン教育や実務経験のない学生向けの3年制コースと、経験者向けの2年制または1年制のアドバンスプログラムがあります。博士課程では、制作中心の「Doctor of Design（D.Des）」と、論文中心の「Doctor of Philosophy（Ph.D.）」の2種類があります。

各専攻では、CAD、CGモデリング、GISなどのデジタル技術の教育にも力を入れています。

施設

GSDの主要な建物であるジョージ・ガンド・ホールは、近代的なRC構造の建物で、広々としたスタジオスペース、講義室、図書館、製作ラボなどを備えています。特に、中央のスタジオスペースは「トレイ」と呼ばれ、5層にわたる吹き抜けが特徴的です。

フランシス・ローブ図書館は、30万冊以上の蔵書を誇るデザイン専門の図書館で、貴重な資料も所蔵しています。製作ラボには、伝統的なツールから最新のデジタル技術まで、多様な設備が整っています。

卒業生と教員

GSDは、13,000人以上の卒業生を擁し、建築、都市計画、ランドスケープの各分野で世界的に活躍する多くの著名な専門家を輩出してきました。著名な卒業生としては、プリツカー賞受賞者のフランク・ゲーリー、槇文彦、I.M.ペイなどが挙げられます。

教員もまた、世界的に著名な専門家が多く、多様なバックグラウンドを持つ教員たちが、最先端のデザイン教育を提供しています。

研究活動

GSDは、教育だけでなく、研究活動にも力を入れています。ロブフェローシップや、持続可能なインフラのためのZofnassプログラムなど、多くの研究イニシアチブを管理しています。また、ハーバードデザインマガジンなどの出版物を通じて、研究成果を発信しています。

デザイン研究所では、デザインが社会変革の原動力となることを目指し、理論と実践を統合した研究活動を行っています。

その他の特徴

GSDでは、エグゼクティブ教育プログラムも提供しており、不動産上級管理開発プログラム（AMDP）などのコースを通じて、専門的な能力開発を支援しています。

GSDの学生は、ハーバード大学院評議会（HGC）や、数十のGSD学生クラブによって代表されており、活発な学生コミュニティが形成されています。

日本との関わり

日本からも多くの建築家やランドスケープアーキテクトがGSDに留学、研究員として滞在しています。安藤忠雄、槇文彦、磯崎新、丹下憲孝などの建築家や、石川幹子、宮城俊作などのランドスケープアーキテクトがGSDで学び、活躍しています。

GSDは、世界各地の都市や環境問題に対するデザインの可能性を追求し、未来を創造するリーダーを育成しています。その教育と研究の貢献は、世界中のデザイン分野に大きな影響を与え続けています。

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