ハーモン・トロフィー

ハーモン・トロフィー：航空界の栄誉

ハーモン・トロフィーは、その年の最も優れたパイロットに贈られる権威ある賞です。1926年、裕福な気球乗りであり、飛行機パイロットでもあったクリフォード・B・ハーモンによって設立されました。

この賞には、男性飛行士、女性飛行士、気球または飛行船操縦士の3つのカテゴリーがあります。1926年から1938年の間には、各参加国から傑出したパイロットを選出する「ナショナル・トロフィー」も存在しました。また、1946年から1948年には、航空分野に貢献したアメリカ人が表彰され、1968年からは宇宙飛行士を対象としたトロフィーも追加されました。

第二次世界大戦とハーモンの死

第二次世界大戦以前、ハーモン賞はハーモンが設立した国際飛行家連盟によって運営されていました。しかし、大戦と1945年6月25日のハーモンの死により連盟は解散し、賞の運営は混乱しました。ハーモンは賞の永続のために55,000ドルを遺贈しましたが、遺族が異議を唱え、最終的に48,431ドルの信託財産が設立されました。

1945年から1948年の間、飛行家連盟のアメリカ支部はアメリカの航空界の指導者3名にトロフィーを授与しましたが、他の支部の承認を得られず、公式には無効とされました。これらの授与は飛行技能よりも、アメリカの航空業界リーダーに対するものでした。1946年にはパンアメリカン航空の社長ジュアン・トリップが受賞しましたが、他の受賞者については物議を醸しました。

1997年以降、全米飛行家協会がトロフィー授与を担当していますが、宇宙飛行士に対する授与を除いて、活動は不活発です。

財団は宇宙飛行の扱いについて検討し、3つのトロフィーという制限のもと、「地球軌道上、または外宇宙の宇宙船に関する操縦の業績も、地上からの制御ではなく、操縦士の操作によるものであれば、ハーモン賞の対象となりうる」と決定しました。1969年には宇宙飛行の業績を表彰するための5番目のトロフィーが作られました。

トロフィーのデザイン

最初のトロフィーは高さ24インチの青銅製でした。飛行士トロフィーは、第一次世界大戦のエース、ラウル・ラフベリーが鷲の横に立ち、複葉機を発進させようとする姿を表現しています。女性飛行士トロフィーは、翼を持つ女神が鷹を抱いている姿です。気球・飛行船操縦士トロフィーは、5人の飛行士が肩に地球を載せている像で、一時紛失しましたが後に発見され、修復されました。

受賞者リストについて

複数の情報源を組み合わせた受賞者リストは、まだ完全ではありません。全米飛行家協会とスミソニアン協会の国立航空宇宙博物館は、2005年に完全なリストを作成する予定でしたが、プロジェクトは完了しませんでした。

日本関係では、女性パイロットの西崎キクが1934年にハーモン・トロフィー（ナショナル・トロフィー）を受賞しています。また、1957年には東京大空襲を立案したカーチス・ルメイも受賞しています。

ハーモン・トロフィーは、航空分野における卓越した業績を称える歴史的な賞であり、その変遷と受賞者の功績は、航空史を語る上で欠かせない要素です。

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