バイオニックコマンドー

『バイオニックコマンドー』は、2009年 6月25日にカプコンより発売されたXbox 360、PlayStation 3用のアクションゲームです。開発はGRINが担当しました。ファミリーコンピュータ用ゲーム『ヒットラーの復活トップシークレット』の世界観とゲームシステムを継承した、オリジナル作品として制作されています。後に、2009年 10月29日にはWindows XP/Vista版もリリースされました。

概要

本作の主人公は、左腕にバイオニックアームを装着したFSA軍兵士「ネイサン・スペンサー」。プレイヤーは彼を操作し、テロ組織バイオレインによって急襲されたアメリカの都市アセンション・シティを舞台に、敵を掃討していきます。

開発には約2年の期間と20億円もの巨費が投じられました。当初は150万本の出荷を見込んでいましたが、北米版の初月売り上げは2万7000本と低迷。2009年7月末時点で、全世界での総売り上げは約55万本にとどまりました。また、発売から2か月後には開発を担当したGRINが閉鎖するという事態に見舞われました。その後、同社のスタッフはOutbreak Studiosを設立しましたが、『バイオニックコマンドー』はGRIN名義でリリースされた最後のタイトルとなりました。

『マスターD復活計画』との関連性

『バイオニックコマンドー』の前作にあたるのが、2008年に発売された『バイオニックコマンドーマスターD復活計画』です。この作品は、『ヒットラーの復活』のリメイク版として制作されました。『バイオニックコマンドー』とは世界観を共有しており、前日譚として楽しむことができます。また、作品名や固有名詞、世界観などを統一し、ネイサンの妻エミリーを登場させるなど、『バイオニックコマンドー』への伏線となる要素も盛り込まれています。

『マスターD復活計画』を特定の条件でクリアすると、『バイオニックコマンドー』でスペンサーのクラシックコスチュームや隠し部屋へのパスワードを入手できます。また、隠しアイテムのデザインは『マスターD復活計画』のグラフィックをモチーフにしており、Xbox 360版の実績の絵柄は、さらにそのリメイク元である『ヒットラーの復活』のドットをモチーフにしているなど、細部にもこだわりが見られます。

プロモーション・キャンペーン

『マスターD復活計画』の発売時には、水木一郎が歌う主題歌PVが制作されました。このPVは『バイオニックコマンドー』の製品版に完全版として収録されており、楽曲はシングルCDとしても発売されています。

プロデューサーのベン・ジャッド氏は、ゲームサイトのインタビューや公式ブログの運営、イベント参加など、精力的にプロモーション活動を行いました。イベントでは、等身大のバイオニックアームを装着し、主人公スペンサーのコスプレを披露するなど、話題を集めました。

また、『バイオニックコマンドー』の発売直前には、『マスターD復活計画』のダウンロード版を半額にするキャンペーンも実施されました。

評価

海外のゲームサイトでは、10点満点で7～8点程度の評価を得ています。日本では、ファミ通クロスレビューで40点中34点を獲得し、ゴールド殿堂入りを果たしました。スウィングアクションの自由度が高く評価される一方、展開が単調であるという指摘もありました。難易度は高めですが、クリアした時の爽快感は大きく、やり応えのあるゲームと評価されています。

操作

主人公スペンサーは、左腕のバイオニックアームを利用して、様々なアクションを行います。アームは伸縮自在で、物体に引っ掛けてスウィングしたり、壁を昇り降りすることができます。このスウィングアクションが本作の最大の特徴であり、自由度の高い移動を可能にしています。

ただし、核汚染地域や水没した都市など、一部の場所には侵入するとゲームオーバーになるペナルティエリアも存在します。ゲームを進めることで、ストーリーや世界観に関する情報が解放されていきます。また、マップに点在する隠しアイテムを回収することで、ギャラリーを充実させることができます。

「チャレンジ」では、武器やアームを使った課題をクリアすることで、スペンサーの能力を強化することができます。

攻撃動作

バイオニックアームは、移動手段としてだけでなく、敵を掴んで投げ飛ばしたり、物体をぶつけて攻撃したりするなど、攻撃手段としても活用できます。

アームを使った主な攻撃アクション

降り注ぐ死：高所から急降下して敵を踏み潰す
スロースマッシュ：敵を宙に浮かせた後に蹴り飛ばす
ジップキック：アームで敵を掴み、接近してキックを浴びせる
リップ：敵や物体をアームで掴み引きずる
カイティング：掴んだ敵を振り回して投げつける

必殺技

アドレナリンゲージが最大になると、必殺技を発動できます。ゲージは敵を倒すことで上昇します。

ウィップスピン：アームを回転させて周囲の敵を薙ぎ倒す
トドメの一撃：バイオメックのコックピットをこじ開け、操縦士を殴り倒す
降り注ぐ死（強化版）：通常版より範囲と威力が上昇した降り注ぐ死

武器

スペンサーは、バイオニックアームの他に、様々な銃器や手榴弾を使用します。

TUNGSTEN：標準装備のハンドガン
YELENA：スナイパーライフル
BULLDOG：グレネードランチャー
TARANTURA：ミサイルランチャー
HIKER：ショットガン
ジョーのマシンガン：連射性に優れたマシンガン

マルチプレイ

本作には、オンライン対戦モードも搭載されています。最大8人までの対戦が可能で、16種類の専用マップが用意されています。

プレイモード

デスマッチ：個人戦
チームデスマッチ：チーム戦
キャプチャー・ザ・フラッグ：フラッグ争奪戦

マルチプレイでは、能力を向上させるアイテムや武器がマップに配置されています。

ストーリー

『マスターD復活計画』から5年後、スペンサーは国家反逆罪で逮捕されてしまいます。これは、バイオニック技術を撲滅しようとする政府の陰謀でした。その後、政府は「バイオニック・パージ」というバイオニック技術を禁止する法律を発令します。

バイオニック兵の一部は、この法律に反発し国外に逃亡、テロ組織「バイオレイン」を結成します。バイオレインは、アセンション・シティで爆弾の投下実験を行い、都市を壊滅させます。この事態を受け、スーパー・ジョーはスペンサーを釈放し、事態の収拾を命じます。

登場人物

ネイサン・スペンサー：本作の主人公。通称“ラッド”。
スーパー・ジョー：本名ジョセフ・ギブソン。スペンサーのナビゲーター。
エミリー・スペンサー：スペンサーの妻。
ジェイン・マグダレン：スペンサーの元部下。バイオレインに入隊。
シルバー：バイオレインの幹部。

敵キャラクター

バイオレイン兵士：小銃と電磁ナイフで武装。
スタンダード・バイオメック：格闘スーツ。シールドとショットガンで武装。
ポリクラフト：バイオメックの航空機タイプ。ガトリングガンとミサイルを装備。

ボス

ブラーク：武装ヘリコプター。
モホール：地下を移動する敵。

コミック『Chain of Command』

『マスターD復活計画』から『バイオニックコマンドー』までの10年間の出来事を描いた、アメリカン・コミックです。スペンサーとジョーの関係が悪化した理由が描かれています。

関連商品

バイオニックコマンドー/デッドライジング (2009年 6月10日)
Bionic Commando Soundtrack (2009年 7月28日)
プレイヤーセレクトアクションフィギュア/ネイサン'ラッド'スペンサー

リンク

公式サイト
バイオニックコマンドー・トップシークレットブログ

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