バイ・ザ・ウェイ

レッド・ホット・チリ・ペッパーズの進化を象徴する作品『バイ・ザ・ウェイ』

2002年、レッド・ホット・チリ・ペッパーズが発表した8枚目のスタジオアルバム『バイ・ザ・ウェイ (By the Way)』は、バンドのキャリアにおいて重要な位置を占める作品です。ドラマーのチャド・スミスが「very John」と評したように、ギタリストのジョン・フルシアンテの個性と才能が全面的に押し出された作品であり、バンドサウンドに大きな変化をもたらしました。

それまでのファンク・パンク色が後退し、代わりに洗練されたコーラスワークとポップな要素が前面に押し出されています。ジョン・フルシアンテのギターサウンドはより複雑で繊細になり、楽曲全体に独特の深みと広がりを与えています。また、ヴォーカル・ハーモニーも強化されており、聴く者を魅了する美しいメロディーが数多く収録されています。

このアルバムは商業的にも大きな成功を収め、イギリスのアルバムチャートで1位を獲得しました。これはレッド・ホット・チリ・ペッパーズにとって大きな快挙であり、バンドのグローバルな人気を改めて示すものとなりました。

アルバムを彩る楽曲の数々

『バイ・ザ・ウェイ』に収録されている楽曲は、どれも個性豊かで聴き応えがあります。代表的な楽曲として、先行シングルカットされたタイトル曲『バイ・ザ・ウェイ』は、曲間のカッティングパートで曲調が大きく変わり、聴く者を飽きさせません。ミュージックビデオは、アンソニーがタクシー運転手に誘拐され、フリーとジョンが助けにいくというユニークなストーリーとなっています。

他にも、明るいポップ調の『ユニヴァーサリー・スピーキング』、打ち込みドラムが使用された『ザ・ゼファー・ソング』、ライブ感あふれる『キャント・ストップ』など、バラエティ豊かな楽曲が収録されています。『キャント・ストップ』はリリース以降、多くのライブで1曲目として演奏されるなど、バンドの代表曲の一つとなりました。ミュージックビデオは、アーウィン・ヴルムの「一分間の彫刻」からインスピレーションを得た作品として知られています。

また、『ヴェニス・クイーン』は、アンソニーの元カウンセラーであるグローリア・スコットの死を悼んで書かれた楽曲です。この曲は、アルバム全体に漂うメランコリックな雰囲気を象徴する曲の一つとなっています。

ジュリアン・シュナーベルによるジャケットデザイン

アルバムのジャケットデザインは、著名な画家であるジュリアン・シュナーベルが手がけました。シュナーベル独特の芸術的なセンスが光るジャケットは、アルバムの雰囲気をさらに高めています。

まとめ

『バイ・ザ・ウェイ』は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの音楽性における転換期を示す作品です。ジョン・フルシアンテの才能を最大限に活かしつつ、バンドの音楽性を新たな方向へと導いたこのアルバムは、彼らが持つ音楽的可能性を改めて示し、リスナーに深い感動を与え続けています。多様な楽曲、洗練されたサウンド、そして印象的なミュージックビデオの数々は、音楽史に名を残すアルバムとしての地位を確固たるものとしています。

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