バイ・バイ・ベイビー

フォー・シーズンズの1965年のシングル「バイ・バイ・ベイビー」は、グループの音楽的変遷を示す重要な楽曲です。ボブ・クルーとボブ・ゴーディオによって書かれ、プロデュースされたこの曲は、それまでのドゥーワップスタイルから、よりバラード色の強いサウンドへとシフトする試みとして制作されました。その結果、全米チャートで12位を記録するヒットとなりました。当初の邦題は「バイ・バイ・ベビー・グッドバイ」でした。

しかし、「バイ・バイ・ベイビー」の真の成功は、後のカバーバージョンによって証明されることになります。1975年、スコットランド出身のアイドルグループ、ベイ・シティ・ローラーズが同曲をカバーしました。彼らは、原曲のメロディーを活かしつつ、ロックンロール調に大胆にアレンジ。このバージョンは、全英チャートで6週連続1位を獲得する大ヒットを記録しました。ベイ・シティ・ローラーズのカバーは「タータン・ハリケーン」と呼ばれる彼らの世界的な人気を決定づけるものとなり、日本にも大きな影響を与えました。

その影響を受けたのが、日本のポップス界を代表するアーティスト、郷ひろみです。郷ひろみは、1975年12月21日に「バイ・バイ・ベイビー」を自身の15枚目のシングルとしてリリースしました。安井かずみによる日本語詞は、原曲の持つ切ない雰囲気を巧みに表現し、日本のリスナーの心に響きました。このカバーもまた、大きな成功を収め、郷ひろみの代表曲の一つとなりました。郷ひろみ版は、編曲を穂口雄右が担当、カップリング曲には「夢みる頃をすぎて」が収録されました。

1990年代に入ると、アイドルグループK・Chaps!がフジテレビ系テレビアニメ『まじかるハット』のエンディングテーマとして「バイ・バイ・ベイビー」をカバーしました。谷穂ちろるによる日本語詞と船山基紀によるアレンジは、アニメの雰囲気に合った軽快な仕上がりとなっており、新たな世代にこの曲を届ける役割を果たしました。

さらに、EPOが1983年のアルバム『VITAMIN E・P・O』、Winkが1988年のアルバム『Moonlight Serenade』でそれぞれ「バイ・バイ・ベイビー」をカバーしています。これらのカバーは、それぞれのアーティストの個性を反映したアレンジが施され、多様な解釈が可能な楽曲であることを示しています。

このように、「バイ・バイ・ベイビー」は、時代を超えて多くのアーティストにカバーされ、それぞれの個性と時代の空気感を反映しながら、長く愛され続けている名曲と言えます。フォー・シーズンズによるオリジナルバージョンから始まり、ベイ・シティ・ローラーズ、郷ひろみ、K・Chaps!、EPO、Winkといった多様なアーティストによるカバーを通して、この曲は音楽史にその名を刻んでいます。それぞれのカバーバージョンのアレンジの違いや、歌詞の翻訳、そしてそれぞれのアーティストの解釈によって、曲の持つ魅力はさらに広がりを見せています。時代やアーティストによって異なる魅力を放つ「バイ・バイ・ベイビー」は、これからも多くの人々に歌い継がれていくことでしょう。

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