バオアン族

バオアン族：中国のモンゴル系少数民族

バオアン族は、中華人民共和国に居住するモンゴル系民族であり、中国政府が認める55の少数民族の一つです。日本語表記では、ボーナン族やボウナン族とも呼ばれます。人口は約16,505人（2000年時点）と比較的少数民族ですが、独自の文化と歴史を誇っています。

信仰と居住地域

バオアン族の大多数はスンニー派イスラム教を信仰していますが、青海省に住む一部の人々はチベット仏教を信仰しています。主な居住地は甘粛省臨夏回族自治州積石山保安族東郷族撒拉族自治県で、その他、甘粛省内の他の県や青海省循化県にも少数の人々が暮らしています。

起源と歴史

バオアン族の起源は、元代から明代にかけて青海に駐屯していたモンゴル系イスラム教徒の兵士の子孫であると考えられています。彼らは同治帝の治世（1862年～1874年）頃に甘粛省へ定住し始め、現在の居住地を形成していきました。

言語

バオアン族は、モンゴル諸語に属するバオアン語を話します。しかし、青海省と甘粛省のバオアン語には、若干の差異が見られます。これは、青海省のバオアン族がチベット語、甘粛省のバオアン族が漢語（中国語）の影響を受けてきたためと考えられています。それぞれの地域における言語接触の歴史が、方言差を生み出していると言えるでしょう。

文化

バオアン族の文化は、近隣に住む東郷族や回族の文化と多くの共通点を持っています。彼らの衣装は、チベット族、回族、東郷族の衣装の特徴を融合させた独特なものです。

特に女性の服装は鮮やかで、幅広のカラフルなズボンが特徴的です。結婚の有無によってベールの色が異なり、既婚者は黒、未婚者は緑色のベールを着用します。男性は、白または黒の布で頭をターバン状に巻き、白い上着を羽織ることが多いです。

バオアン族は、高品質のナイフである「保安刀」または「保安腰刀」の製作技術でも知られています。美しく、鋭利で耐久性のある保安刀は、バオアン族の重要な収入源の一つとなっています。農業や畜産業も重要な生計手段です。

まとめ

バオアン族は、独自の信仰、言語、文化、そして伝統工芸を持つ、中国における重要な少数民族の一つです。彼らの歴史と文化は、モンゴル系民族、チベット文化、漢文化など、多様な要素が複雑に絡み合って形成されてきたことを示しています。中国における多様な文化の一端を垣間見ることができる、貴重な存在と言えるでしょう。今後も、彼らが独自の文化を維持し、発展させていくことを願っています。

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