バクリグループ

バクリグループの概要

バクリグループ（Bakrie Group）は、インドネシアにおける重要な企業グループであり、その規模は国内のプリブミ（土着）系企業の中でも最大とされています。その創立は20世紀初頭にさかのぼり、独立後のインドネシア経済の混乱において土着系企業の育成を目指して急成長を遂げました。

歴史的背景

インドネシア独立後、農業関連や商業はオランダ企業や華人企業が独占していました。そのため、土着系企業の成長が求められ、「ベンテン政策」が導入され、国営銀行からの低利融資や輸入許可証の発行を通じての支援が行われましたが、この政策は長続きせず、1965年に廃止されました。バクリグループはこの政策を活用して事業の拡大を図った企業の一つです。

創業者と設立

1916年に南スマトラ州で生まれたアフマド・バクリが創業者で、商業学校を卒業後に製薬会社の営業として働いていました。1972年にはオランダの侵攻により情報が制限される中で、アフマドは需要の高い薬品を買い占めて利益を上げ、その資金で商社を設立しました。1951年には法人化され、1952年には「バクリ・アンド・ブラザーズ」として株式会社の形態が整えられました。

事業の多角化

最初は薬品や農作物の流通を中心に事業を展開していましたが、1952年からは欧米企業とも協力を始め、1957年には国内初の鉄鋼業の民間企業として「バクリ・スティール社」を設立しました。その後、国際市場にも注目し、1966年からは輸出事業も本格化させました。

さらに、1975年にはトヨタとの合弁で自動車部品メーカーも立ち上げ、地元経済に大きな影響を与えました。1982年には長男のアブリザルが企業の副社長に就任し、次世代へのバトンタッチが行われました。

持ち株会社の設立

1988年にはアフマドが死去し、アブリザルが会長に。1992年までに持ち株会社を3社に整理し、彼をはじめとする三男たちがそれぞれの会社を引き継ぎました。この構造により、金融やメディア、製造業など多岐にわたる事業に展開していきました。

上場と成長

1989年にはジャカルタ証券取引所に上場し、株価が急上昇しました。この結果、負債比率が大幅に改善され、1996年には年商が2.4兆ルピアに達し、プリブミ系としては第三位の地位を確立しました。

最近の状況

21世紀に入り、ナット・ロスチャイルドとの取引が続いていましたが、2015年に石炭事業から手を引く決断を下しました。また、バクリグループは過去の環境問題や補償問題にも直面しています。2006年には東ジャワ州での泥噴出問題が発生し、補償金の支払い遅延が続いています。アブリザルはその責任を問われる場面も多く、今後の企業としての姿勢が注目されています。

バクリグループは、設立以来約100年の歴史を持つ企業グループであり、インドネシアの経済や社会に大きく貢献してきたことが分かります。創業者の熱意や次世代への経営の引継ぎが、今後どのように展開していくのかが期待されています。

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