バケルトンとは
バケルトンとは、バス愛好家の間で使われる俗称で、
モノコック構造のバスをスケルトン構造のように見えるように外観を改造した車両のことを指します。「スケルトンに化ける」という意味から、この名前が付けられました。
概要
1980年代以降、スケルトン構造のバスが普及し始めると、それまで主流だった
モノコック構造のバスは旧式化が否めなくなりました。しかし、地方のバス事業者の中には、経済的な理由から新車を導入することが難しい状況に置かれているところも少なくありませんでした。
そこで、一部の事業者は、既存の
モノコック構造のバスを延命させるために、スケルトン構造のバスに似せた外観に改造する試みを行いました。改造は、フロントマスクのみの場合もあれば、フロントとサイドの両方を改造する場合もあり、その内容は様々でした。
特に
沖縄県では、
1978年の「730」と呼ばれる交通方法の変更に伴い、大量の
モノコック構造の新車が導入されました。しかし、その後、事業者の経営状況が悪化し、スケルトン構造のバスへの代替が困難になったため、これらの
モノコック車がバケルトン化されるケースが多く見られました。
改造の例
バケルトンの改造は、以下のような箇所に行われることが一般的です。
前面上部の改造: フロントガラス上部の形状を変更し、スケルトン構造のバスに見られるようなデザインに近づけます。
フロントマスクの改造: ヘッドライトやグリルなど、フロント部分のデザインを大幅に変更し、外観の印象を大きく変えます。
扉の交換: 従来のバスによく見られる折り戸から、スケルトン構造のバスで一般的なスイングドアやグライドドアに交換します。
窓の改造: 上部固定下部引き違い窓、下部固定上部引き違い窓、固定窓など、スケルトン構造のバスに見られる窓の形状に改造します。
これらの改造によって、
モノコック構造のバスは、外観上はスケルトン構造のバスと見分けがつかなくなることもあります。バケルトンは、古いバスを有効活用するための工夫であり、バス事業者の創意工夫の一例と言えるでしょう。
バケルトンの現状
現在では、バケルトンを見かける機会は少なくなっています。これは、スケルトン構造のバスの普及が進んだことや、バスの安全基準が厳しくなったことなどが理由として挙げられます。しかし、過去には多くのバスがバケルトン化され、各地で活躍していたという事実は、バスの歴史を語る上で重要な要素の一つと言えるでしょう。
参考文献
『日本のバス年代記』(鈴木文彦・グランプリ出版)
関連項目
モノコック
* フェイスリフト (車両チューニング)