バサラブ3世ライオタ

バサラブ3世ライオタの生涯と政治的境遇

バサラブ3世ライオタ（Basarab Laiotă、? - 1480年12月22日）は、15世紀のワラキア公であり、特にその在位期間は多くの政治的変動が見られました。彼はワラキアの公ダン2世の子であり、同時にバサラブ4世ツェペルシュ若公に対しては「老公（cel Bătrân）」と称され、彼の政治的影響力もさまざまな場面で発揮されました。

初期の人生と権力争い

1456年8月、バサラブ3世の兄弟であり、ダネシュティ家の公ヴラディスラフ2世が暗殺されたことにより、ワラキアでは権力の空白が生まれました。この隙を突いてドラクレシュティ家のヴラド3世が権力を握り、バサラブ3世は亡命を余儀なくされました。トランシルヴァニアに逃げ込んだ彼は、1459年に発信した手紙で公位を奪還しようとする意志を明らかにしています。

オスマン帝国との関係

1462年、オスマン帝国による侵攻によって、ヴラド3世は捕らえられ、バサラブ3世はしばらく後に新たなワラキア公候補として名を挙げられました。モルダヴィア公シュテファン3世の支持を受けた彼は、1473年に公位の即位を果たしますが、すぐにオスマンと結んでいたラドゥ3世の連合軍による攻撃を受け、再びトランシルヴァニアへと逃れます。

公位の争奪と帰還

1474年、シュテファン3世の支援を受けて公位を奪還したバサラブ3世ですが、同年中に再度の敗北を喫し、再びモルダヴィアへ逃げ込みます。1475年1月、彼は再び公位に返り咲くものの、次第にオスマン帝国に接近する姿勢を見せ、シュテファン3世との関係は次第に悪化しました。最終的に、1476年にはオスマンの援助を受けたラドゥ3世が再びワラキア公に返り咲き、バサラブ3世は再び敗北して逃亡を余儀なくされてしまいます。

権力の最終的な転換

彼の政治キャリアの大きな転機は、1476年のヴラド3世の不慮の死により訪れました。バサラブ3世はこの機会を捉え復位しましたが、歴史的な背景には彼の謀略も疑われています。しかし、1480年にバサラブ4世によって再び追放され、同年12月22日に死亡することで、彼の波乱に満ちた生涯は幕を閉じました。

バサラブ3世ライオタの生涯は、ワラキアの政治の複雑さと彼自身の権力を巡る苦闘を物語っています。彼は実際にはオスマン帝国との関係を強化しようとした一方で、内外の権力争いの中で翻弄され続けました。その様子は、当時のワラキアの複雑な政治状況を今に伝える重要な歴史的事例として評価されています。

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