バス海峡

バス海峡は、オーストラリア本土とタスマニア島との間に位置する海峡で、最狭部で約240kmの幅があります。水深は約50mと比較的浅く、最終氷期には陸地であったと考えられています。この海峡は1798年にマシュー・フリンダースによって発見され、彼の船の船医であったジョージ・バスにちなんで名付けられました。

海峡内には、キング島やフリンダース島など50以上の島々が点在しています。これらの島々は、独特の生態系を育み、多様な動植物が生息する豊かな自然環境を形成しています。主な島としては、西部にキング島、スリーハモック島、ハンター島、ロビンズ島が、南東部にファーノー諸島、フリンダース島、ケープバレン島、クラーク島が、北東部にケント諸島、ディール島、ホーガン島、カーティス島が挙げられます。

バス海峡は、その浅い水深と荒れた海況から、航海の難所として知られています。特に19世紀には多くの船が遭難し、航海の安全を確保するために1859年にウィルソン岬灯台が建設されました。現在でも、バス海峡を航行する船舶は、気象条件や海流に注意を払い、慎重な操船が求められます。

また、バス海峡は豊富な天然ガス資源を有しています。1960年代には東部のガス田が発見され、ギプスランドの沿岸から約50kmの沖合で採掘が行われています。採掘されたガスはパイプラインを通じて、アルトナやジーロングの精製所に送られ、さらにニュー・サウス・ウェールズ州へタンカーで輸送されています。1990年代には西部でもガス田が発見され、ポート・キャンベル沖約10kmの地点で2005年から開発が開始される予定です。これらのガス田は、オーストラリアのエネルギー供給において重要な役割を果たしています。

バス海峡は、その地理的な重要性、豊かな自然環境、そして豊富な資源から、オーストラリアにとってかけがえのない存在です。しかし、同時に、その荒れた海況は、常に人々に危険をもたらしてきました。バス海峡は、自然の恵みと脅威が共存する場所として、人々に畏敬の念を抱かせ続けています。

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