バッテンバーグケーキ

バッテンバーグケーキ（Battenberg Cake）

バッテンバーグケーキは、スポンジケーキの特異な種類で、ジャムで覆われた軽やかな層が特徴です。このケーキを横に切ると、ピンクとイエローが交互に配置された美しい2×2のチェック模様が現れます。この模様は「バッテンバーグ・マーキング」とも呼ばれています。

このケーキは、ピンクとイエローのスポンジケーキをそれぞれ焼き、その後切り分けて組み合わせることで作られます。各層はアプリコットジャムで密着させた後、全体をマジパンというアーモンドペーストで包み込みます。見た目が美しいだけでなく、香ばしいアーモンドの味わいも楽しめるのが魅力です。

起源と歴史

バッテンバーグケーキはイギリスが発祥ですが、その具体的な起源は明確ではありません。1898年に発表された初期のレシピには、「ドミノケーキ」や「ナポリタンロール」、さらには「チャーチウィンドー・ケーキ」といった名称もありました。このケーキの名前が公式にバッテンバーグになったのは、1884年、ヴィクトリア女王の孫娘であるヴィクトリア王女とルイス・アレグザンダー・マウントバッテンとの結婚を記念して名付けられたのがきっかけです。なお「Battenberg」という名は、ドイツ中部のヘッセン州バッテンベルク市に由来しています。

このケーキの名称が初めて書物に登場したのは1903年で、料理に関する著作『The Oxford Companion to Food』に記されています。それ以前は、別の名前で記載されたレシピも存在し、たとえばフレデリック・ヴァインが1898年に著した『Saleable Shop Goods for Counter-tray and Window』では「Battenburgケーキ」として言及されています。

興味深いことに、イギリスの救急車両に施されている黒と白のチェッカー模様は「バッテンバーグマーキング」と称されており、バッテンバーグケーキの模様に似ているため名付けられました。

アメリカにおけるバリエーション

アメリカ合衆国では、バッテンバーグケーキに類似した「チェッカーボードケーキ」が人気です。このケーキもまたスライスするとその断面がチェッカー盤のように見え、アメリカの「チェッカーゲーム」として知られるドラフツのボードに似ています。一般的なチェッカーボードケーキでは、バニラとチョコレートのスポンジケーキを交互に配置し、たっぷりのチョコレートバタークリームでデコレーションされます。

バッテンバーグケーキとの相違点は、通常はマジパンを使用せず、特別なスプリングフォームパンを使って理想的なチェッカー模様を作り出すことです。これはバッテンバーグケーキに見られるような伝統的な技法とは異なるスタイルで、アメリカらしいアプローチと言えるでしょう。

まとめ

バッテンバーグケーキはその美しい見た目と独特のプロセスで、多くの人に愛されてきました。軽やかなスポンジケーキにジャムとマジパンを使ったこのケーキは、特別なイベントやお茶会にぴったりです。時代や国によって様々なバリエーションが生まれているため、今後もその進化が楽しみな一品です。

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