バッド・ガール (1931年の映画)

『バッド・ガール』(1931)：社会の偏見と若者たちの葛藤を描いた感動作

1931年、フランク・ボーゼイギ監督が手掛けたアメリカ映画『バッド・ガール (Bad Girl)』は、ヴィナ・デルマーの小説とブライアン・マーロウの舞台劇を原作とするヒューマンドラマです。ジェームズ・ダンとサリー・アイラースという当時を代表する俳優陣が出演し、第5回アカデミー賞では作品賞を含む3部門にノミネート、監督賞と脚色賞を受賞する快挙を成し遂げました。

物語の中心は、ニューヨークで働く活発な女性、ドロシー・ヘーリーと、ラジオ修理工のエディー・コリンスの恋愛です。二人の出会いは運命的なものでしたが、彼らの関係は社会の偏見や経済的な問題に直面することになります。

ある雨の夜、ドロシーはエディーのもとを訪ねますが、エディーは仕事で遅れていました。その待ち時間に、二人の関係は深刻な段階に進展します。この出来事によって、ドロシーは家族から疎まれ、社会的な孤立を経験します。

その後、ドロシーは妊娠しますが、経済的な不安から、エディーにその事実を打ち明けられずにいました。エディーもまた、自身の夢であるラジオ店の開業資金を貯蓄中で、経済的な負担を心配していました。二人の間には、言葉にならない不安と葛藤が渦巻きます。

ドロシーの妊娠は、二人の関係をさらに複雑にします。経済的な不安に加え、社会の偏見や、周囲からの冷たい視線も二人の心を圧迫します。しかし、エディーはドロシーを支えようと努力し、拳闘試合に出場して賞金を稼ごうとします。

出産当日、エディーは試合に出場しており、ドロシーは彼の不在に苛立ちを感じます。しかし、試合を終えたエディーは、なんとか出産に間に合い、二人の間には誤解が解け、喜びが溢れます。

『バッド・ガール』は、単なる恋愛映画ではありません。1930年代のアメリカ社会における、女性の立場、経済的な格差、社会の偏見といった問題を、繊細かつリアルに描いています。ドロシーとエディーの葛藤を通して、当時の社会状況や人々の生き様を垣間見ることができ、現代の私たちにとっても共感できる点が多く含まれています。

この映画は、若者たちの葛藤、社会との摩擦、そして真の愛の発見といった普遍的なテーマを、美しい映像と俳優たちの熱演によって表現しています。アカデミー賞受賞にも納得の、何度見ても心に響く名作です。

キャスト

ジェームズ・ダン
サリー・アイラース
ミナ・ゴンベル

受賞とノミネート

第5回アカデミー賞
監督賞（フランク・ボーゼイギ）受賞
脚色賞（エドウィン・J・バーク）受賞
作品賞ノミネート

参考文献

allcinema
KINENOTE
American Film Institute Catalog
IMDb
TCM Movie Database

もう一度検索